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実家のテレフォンカード【佐渡旅行記0】


 実家にはよく帰る方だと思うが、都度都度実家にあるものを片付けるようにしている。祖父母も父も他界した我が家は母が一人で管理するにも、将来私が一人で管理するにも広すぎるが、田舎ではよくあることだ。

 自分もこの家で18歳まで過ごしているため、色々整理しているとはいえまだまだ物はある。少しずつやっていくしかないと思いつつ自室の学習机の引き出しを開けると、そこに1枚のテレフォンカードがあった。この記事のトップに写真があると思うが、「夢のジェットフォイル佐渡」と記載されたテレフォンカードにはなにやら速そうな船の写真が鎮座している。全く自分で購入した覚えのないものだ。しかしこれを購入できた人間は我が家に1人しかいないこともすぐに思いついた。

 祖父(父方)である。私の家族で佐渡に行ったことがあるのは祖父しかいない。祖父は晩年地域の集まりなどでよく旅行に行っていたがその行き先に1つに佐渡があり、たらい船に乗った写真が埋め込まれているお皿が祖父母の部屋に飾ってあった。このテレフォンカードがどういういきさつで私の手に渡ったのか全く思い出せないが、私は高校時代遠距離通学をしていたこともあり、テレフォンカードは何かあった時のためによく持ち歩いていた。その流れでこのテレフォンカードも私が使うことになったのではないか。ちなみに私が高校生の途中でポケベルが全盛期を迎えた。そういう時代の人間である。

 祖父のお土産だとわかっていたから捨てにくかったのであろう。使い切って用のないはずのテレフォンカードは実家の机の引き出しの中で眠り続け、二十数年後の2022年8月に生まれ故郷である佐渡に里帰りをすることになるのである。

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