見出し画像

「儲ける・競争に勝つ」民間経済、「儲からない・競争が無い」公共分野

 前回の記事で、納税することに対する嫌な感情の原因を三つあげました。 その中で、「納税する側の価値観からくる嫌さ」は他二つに対して対応が困難なものではないかと考え、今回はこの価値観の違いについてより深堀をしてみました。

○目次
・民間経済分野の価値観(復習)
・公共分野の価値観
・納得には競争による効率化が必要か

○民間経済分野の価値観(復習)
 前回の記事で考えた民間経済分野の価値観について、改めて考えを書きました。
 日本においてお金を稼ぎ納税をしている人々の大部分は、民間経済の分野にて仕事をしています。民間経済分野は、お金儲けをすることで目的を達成することが可能な世界であり、参加者は皆お金を儲けるために常に競争を行っています。この世界においては、「お金を儲けることは自分の目的を達成することに必要である。そしてお金を儲けるには競争で勝利する必要がある。よって、競争することとお金を儲けることは大切である。」という価値観ができていると考えました。
 この価値観から見ると、競争が無くお金も儲からない公共分野の活動は、大切なことを行っていないダメな活動であり、このような公共分野のために税金としてお金を渡したくはない、という感情を持つのではないでしょうか。

○公共分野の価値観
 次に、公共分野の価値観を考えてみます。公共分野で行われているのは、生活保護事業や公共交通機関・地域企業の支援事業などがあります。
 これらの事業は、「儲からないけど、社会の安定のために必要だ。」という公共分野の価値観で行われています。例えば、生活保護事業は自力で生活することが難しい状況の人々に対して、現金を支給するなど様々な支援を行います。支援を受けた人が、自力で生活できるようになっても支給された現金を返済する必要はありませんから、お金の面では儲からない事業といえます。しかし、この事業があるからこそ誰でも不本意な状況で生活が難しくなっても、犯罪を犯さず生きていくことが可能になります。
 また、地方の公共交通機関や地域企業に対する支援事業にも、同様の面があります。例えば、過疎地域の公共交通は運営するために必要なお金に対して、利用する人が少ないために利用料が不足して赤字、つまり儲からないものになります。しかし、この公共交通機関があるおかげで過疎地域の人々が生活するための移動を可能にしています。地域企業に対する支援についても、企業によっては過疎地域の人々を相手にしており儲からないけれども、その企業の活動がなければ雇用の維持や生活に必要なサービスを受けることができなくなってしまいます。
 このように、公共分野は「儲からないけど、社会の安定のために必要だ。」という価値観で税金を基に多くの事業を行っています。

○納得には競争による効率化が必要か
 民間経済分野と公共分野では、明らかに価値観が異なっていることがわかりました。私個人は、税金を納める側の民間経済分野から、公共分野の活動に対する意見のうち、「社会の安定は、安心・安全な民間経済分野の活動のためにも必要なことだと分かる。しかし、競争の無い事業では非効率な事業の進め方になってしまう。」というものが多いのではないかと思います。
 人間は、生物として生き残るためにできるだけ楽をして、エネルギーを蓄えておく方が良いことを本能的に知っています。現代社会は生物として生き残ることが難しい環境ではありませんが、それでもこの本能は無くなっていません。「今まで通りが楽だ」「面倒なことは先送りが楽だ」「誰かに頼った方が楽だ」という気持ちを誰でも持ちます。これに対して、個人及び社会としての成長を促してきたのが「競争」だと思います。公共分野は、この競争が無い事業が多いため、どうしても本能に従い非効率になってしまいがちだと考えられます。
 これを解消するには、やはり「競争」を持ち込むことが必要と思います。具体的には、過去の事業に対して時間や人員、予算を少なくして成果を獲得するという、「過去との競争」が公共分野の効率化には必要であり、民間経済分野で働く人々からの納得を得ることができるのではないでしょうか。

 皆さんはどう思いますか。

ここまで読んでくださりありがとうございます。この記事が心に響いたり、楽しんでいただけましたら、100円のご支援をいただけますと励みになります!