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データサイエンスはAI技術でもっと楽しくなる

 前回のnoteでは、データサイエンス分野の仕事で具体的にやりたいことをまとめました。今回は、データサイエンスとAI技術の関係について考えてみます。データサイエンスは文字通りデータを扱うデジタル分野の仕事です。デジタル分野は、AI技術によって今後仕事が無くなると悲観的に言われていることが多いと感じていますが、私は「データサイエンスもAI技術の影響は受けるが、もっと楽しくなるのでは」と考えています。


AI技術でデータサイエンスはどうなるか

 AI技術は、決められたことを間違わずに疲れ知らずでやることが得意です。この前提を踏まえてデータサイエンス分野の仕事としてできることは、まず統計学の知識を提供することができそうです。どんな目的で、どんなデータを扱うのかを伝えれば、過去の事例を基に最適と判断した統計学の分析手法を提示してくれるようになるでしょう。
 次にデータ分析が出来るようになります(すでにデータ分析関連のソフトで、ほぼ同様の成果が出来ているかもしれません)。データにはどうしても抜けや誤りといった欠損値があります。一個一個のデータの面倒な欠損値処理を、AI技術が疲れ知らずにやってくれるでしょう。その上で、指定した分析手法で分析し結果を提示してくれます。条件を変えて指定しても、何度でも分析したうえで、結果をキレイなグラフやレポート文章で出すことができるでしょう。

AI技術のおかげでデータサイエンスはもっと楽しくなる

 AI技術がやってくれる作業を振り替えると、「過去の事例を基にした提案」、「大量のデータに対する繰り返し作業」、「決められた規定に沿った資料作成」といった、主に「誰がやっても同じ方法で同じ結果になる」分野になるかと思います。
 こうした作業は、人間が必ずしも得意ことではないのでAI技術に任せてしまう方が、お互いに得意なことに役割分担が出来るでしょう。それでは人間の得意なことは何か、それは「個人ごとに多様な考え方や、やり方ができる」ことです。人間は自らの意思を持ち、自分の意思に沿った行動が出来ると楽しいと思う存在です。AI技術と役割分担することで、人間はもっと自分の意思に沿った楽しく感じられる行動に時間を費やすことが出来ます。データサイエンスにおいても、「何のために何を分析するのか、分析を基に何をやるのか」という、個人によって多様な答えが出せる仕事に集中することができ、データサイエンスがもっと楽しくなると思います。

責任を持つのは人間しか出来ない

 AI技術によって、データサイエンスがより楽しくなると書きましたが、同時により注意すべきことがあります。それは、「責任を持つのは人間にしか出来ない」、ということです。
 AI技術で「過去の事例を基にした提案」、「大量のデータに対する繰り返し作業」、「決められた規定に沿った資料作成」をやってもらい、その結果を基にお客さんや会社の人にサービスを提供して問題が起きた時、「いや、それはAI技術が勝手にやったことですので……。」という主張は全く通りません。AI技術の成果物を基に、サービスを提供するか否かは人間が判断しているからです。サービス提供で成功したら人間の成果として評価されますが、失敗した場合はAI技術の責任になる、という都合の良い論理は成り立ちません。責任と評価は表裏一体です。
 データサイエンス分野に限らず、AI技術が発展して任せる作業が増えると人間が自ら行う作業は少なくなっていきます。すると、「自分自身が直接やっていないことは責任外だ。」という誤った認識を持ってしまう恐れが高まるのでは、と考えています。「責任を持つのは人間しか出来ない」ということを、しっかり意識したいと思います。

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