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命題『音楽に罪はない』は、幻想なのか?

以前にQuoraに投稿した回答で、大きな反響も特になかったものを大幅加筆・訂正しました。

質問『音楽は「罪ではない」って、幻想のように感じますが、いかがでしょうか?』

音楽は「罪ではない」は幻想。
物凄い抽象的な質問ですね。※Quoraの質問は字数に制限があるので仕方ないですが。

まず「音楽は罪ではない」が一般的に指すものは、

例えばミュージシャンが問題を起こしたり逮捕されたりした場合に、そのミュージシャンの音源の出版をレコード会社や企業が「自粛」すると言うもの。

問題は
どこからどこまでが許され、
どこからがやりすぎなのか?
と言うことだと思います。

最近の実際の出来事で思い出されるのは、


「電気グルーヴ」の「ピエール瀧さん」がコカインの使用で逮捕された時、
所属のSONY Musicが「電気グルーヴのCDおよび映像商品の出荷停止、在庫回収、配信停止」と言う厳しい処置をしたもの。

ピエール瀧さん薬物事件の経緯

2019年3月12日夜 ピエール瀧はコカインを使用したとして厚生労働省関東信越厚生局麻薬取締部に麻薬取締法違反容疑で逮捕された。
報道によると瀧は「ストレス解消のために使った」と容疑を認めており、また「20代のころからコカインや大麻を使用していた」とも述べた。
4月2日 東京地検により麻薬取締法違反の罪で起訴される。同日、所属事務所ソニー・ミュージックアーティスツとのマネジメント契約を解除。
4月3日 弁護人が東京地裁に保釈を請求。
4月4日 保釈が認められ、同日夜、勾留先の警視庁湾岸警察署から保釈された。保釈保証金は400万円。
6月5日、東京地裁で初公判が行われ、瀧は起訴内容を認めた。
検察側は懲役1年6ヶ月を求刑、弁護側は執行猶予付き判決を求めて、即日結審。
6月18日の判決公判で、懲役1年6ヶ月、執行猶予3年の有罪判決を受ける。

正直僕も「ここまでしなくても」と思いました。

Shangri-la 電気グルーヴ

この時は坂本龍一さんがTwitterに苦言を呈し、ちょっとした議論になりました。

「電気グルーヴのCDおよび映像商品の出荷停止、在庫回収、配信停止」
なんのための自粛ですか?電グルの音楽が売られていて困る人がいますか?ドラッグを使用した人間の作った音楽は聴きたくないという人は、ただ聴かなければいいんだけなんだから。音楽に罪はない。
— skmtcommmons (@skmt09) March 14, 2019

坂本さんの主張がまさに「音楽に罪はない」でしたが、この時の議論って、CDや音源の出版に関してだけ。

2019年3月12日 メンバーのピエール瀧が、麻薬及び向精神薬取締法違反の容疑で逮捕される。
これに伴い全国ツアー『電気グルーヴ30周年“ウルトラのツアー”』の東京・Zepp Tokyo公演の中止が発表された。
また、電気グルーヴに関連した音源、映像を記録した媒体の出荷停止及び店頭在庫の回収、及びデジタル配信が停止された。

「CDなどの音楽媒体の出荷停止」だけでなく、
「店頭在庫の回収」、さらに、
「デジタル配信の停止」までの徹底した自粛ぶり。

この時の石野卓球さんのTwitter上での対応は個人的にはちょっと疑問です。(はっきり言ってやりすぎ)

結局電気グルーヴは、2019年6月にSONYとの契約を終了。(ピエール瀧に関しては契約解除)
11月には新マネジメント会社として『macht inc.』を発足したそうです。

・ミュージシャン自身の処分は法が行います。
・起訴を受けてSONYが実質解雇するのも妥当。(だと思います)
・テレビがCMや番組で電気グルーヴの曲を使うのを自粛するのも妥当。

しかし、所属会社が「電気グルーヴのCDおよび映像商品の出荷停止、在庫回収、配信停止」までするのはどうかと思います。

まさに坂本龍一さんが言う通り「何のための自粛か?」

N.O.電気グルーヴ

社会的に影響力のあるタレントだから厳しい処置をと言う声もありますが、それでもテレビCMや番組内での自粛までだと思います。

曲を聴くのは、ましてやCDを買うのはリスナーの権利。全て入手できなくする(発禁行為)必要もないでしょう。

そう言う意味での「音楽に罪はない」だと思います。

ピエール瀧さんは法的な裁きは受けました。(ミュージシャンの罪の処遇)

関わった映画などの作品は、制作側の判断による自粛。

電気グルーヴ自体も計画していたツアーの中止など、十分煽りを受けています。

Set You Free.電気グルーヴ(移籍後初のシングル)

しかし、リスナー側として、こう言うミュージシャンの行為を知って「嫌悪感を感じる」と言うのもわかります。

その「嫌悪感」がミュージシャン自身だけでなく、その人の音楽にまで及ぶのもわかります。

「作品とその人は切り離すべき」と言われても、感情的にそうはできないと言う場合もあります。

でもそう思うなら、「その人個人(リスナー側)で自粛する」べき。

何を言ってるのかと言うと、要するに

嫌いになったらCD買わなきゃいいし、配信でも聴かなきゃいいし、カラオケでも歌わなければいい。と思います。

『いちご娘はひとりっ子』電気グルーヴ

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