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なぜ日本企業・日本人は『iPhone(のようなもの)』を作れなかったのか?

今回はQuoraでいただいた質問に対して、
2022/07/05に回答を投稿しました。

その投稿を転載します。

1.質問『なぜ日本企業・日本人は「iPhone(のようなもの)」を作れなかったのでしょうか?

質問ありがとうございます。

2.情報工学者『暦本純一』

情報工学者『暦本純一』1961年2月4日生まれ

  1. 東京大学大学院情報学環教授

  2. ソニーコンピュータサイエンス研究所副所長

  3. 東京工業大学理学博士

  4. クウジット創業者

3.『スマートスキン』

『スマートスキン』=スマホ画面上の写真を、2本の指でピンチして拡大する技術。

これを生み出したのが、

  1. ソニーコンピュータサイエンス研究所(CSL)フェロー

  2. 東京大学大学院情報学環教授

『暦本純一』さん。

『人間拡張(ヒューマン・オーグメンテーション)』=インターネットと人間をつなぐことで身体能力や認知能力を拡張させるテクノロジーの提唱者としても知られる。

2002年頃、暦本純一さんは、『スマートスキン』を開発した。
2007年1月 Apple第一世代iPhone発売。
Appleのジョブズが、暦本さんや『スマートスキン』を参考にしたかどうかは分かりません。

しかし、暦本さんがソニーコンピュータサイエンス研究所に入社したのは、1994年。

いわばソニーは、初代iPhone発売前に、
ピンチアウトの技術を持っていたが、
それをスマホどころか、
その他の製品開発技術に活かせなかった。

4.その頃ソニーは、何を開発していたのか?

1994年 暦本純一『ソニーコンピュータサイエンス研究所』入社

※ソニーCSL(ソニーコンピュータサイエンス研究所)京都研究室オフィス(2020年)

その後のソニーは、

  • 2001年 『エリクソン』と合併=携帯電話端末事業のため。

  • 2001年『ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ』設立。

  • 2006年 PlayStation Network稼働。

その他目立つのは、

5.ハイブリットレコーダー『PSX』発売

2003年 ハイブリットレコーダー『PSX』発売

2003年〜2005年にかけて、ソニーは『PSX』を販売していた。
『PSX』=HDD搭載DVDレコーダーに、PlayStation 2の機能を合わせた製品。

要するにソニーは、ちょうど暦本さんが『スマートスキン』を開発した頃、
DVD、Blu-rayレコーダーにHDDを搭載し、
さらにゲーム機PlayStation 2も使える製品を販売。

同時期にPlayStation 2が内蔵されていない、
『スゴ録』も発売し、
こちらの方が売れ行きが良かった。

あくまで家庭内の一室にある『テレビ』という媒体を中心に、
電化製品や未来の生活のヴィジョンを見据えていた。

つまりソニーには、大型・家庭内『テレビ』に縛られた発想しかなかった。

そしてソニーを離れ、日本の携帯電話市場の状況を見てみると、

6.iPhone登場以前の日本の携帯電話市場

1999年 NTTドコモ『iモード』サービスイン。

そして同時期、
1999年 日本において世界初のカメラ付き携帯電話登場。

後のスマートフォンにおける重要な要素が、ここに揃っていた。

しかし、

7.2003年4月『ソニーショック』

2003年当時、元ソニー会長兼CEO『出井伸之』

ソニーは、世界に広く認められた「超ブランド企業」との認識が強くあった。
株式市場では「困ったときのソニー頼み」という格言があるほどだった。
その超優良株が一斉に売り浴びせられた。
狼狽売りもあった。
ソニーがダメなら、あれもこれもと、

  1. 電機株、

  2. ハイテク株、

  3. 果ては銀行株まで売られ、

市場は売り一色の様相となった。
これが「ソニーショック」だった。
そして今思えば、
『ソニーショック』=『ソニー神話崩壊』の序章だった。

iPhoneはAppleのジョブズが、技術者的には素人ながらも、
柔軟な発想でユーザー目線で、
『こういった製品が欲しい』と考えたものを、
優秀な技術者たちが、具現化したもの。

日本のように

  1. 『優秀な技術者はいる』

  2. 『技術的には可能』

といった、
『技術者ファースト』
では、
iPhone・スマートフォンにはたどり着けなかったと言うことだと思います。


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