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マーケティングの教科書・インバウンドマーケティング2

さて、前回に引き続きインバウンドマーケティングについて述べていければと思います。

目次


前回の振り返り

本記事は「イチから始めるマーケティングの教科書1」の続きになります。
前編記事をまだ読んでいない方はより良い理解のために前編記事を是非読んでみてください。
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🔻前編記事リンク🔻

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さて、前回インバウンドマーケティングとは何か、そしてインバウンドマーケティングの重要性について学びました。
おさらいをしていくと

・インバウンドマーケティングとは価値あるコンテンツやサービスをオーディエンスに合わせて創出し、長期的な関係を維持するための戦略です。

・常に顧客の成功体験が自社にとっての成功につながる事を意識しましょう。

・インバウンドにはAttract, Engage, Delightの3つの手法があり、それぞれに焦点を当てる事で異なる問題を解決できる。

です。そこで今回は前回学んだインバウンドマーケティングを実際に運用していくための準備と実践方法についてお話をしていきます。

インバウンドマーケティング戦略を行う準備

前回インバウンドマーケティングとは価値あるコンテンツやサービスをオーディエンスに合わせて創出し、長期的な関係を維持するための戦略ですとお話をしたかと思いますが、「オーディエンスに合わせたコンテンツやサービス」とはどういう事でしょうか?

既にコンテンツやサービスが存在する場合でも、サービス開始当初に予期したオーディエンスと実際のオーディエンスが異なる場合がある他、行うイベントやプロモーション戦略により少しづつオーディエンスの層が遷移していきます。つまり、常に既存顧客が持つニーズの変化を把握し続け、アップデートし反映させると共に、イベントやプロモーションを行う際にはプロジェクト毎にターゲットとなるオーディエンスを設定し、パーソナライズされた体験を提供する準備をする事がインバウンドマーケティング戦略の効果を最大限に実感する第一歩となります。

そこで何よりも重要になるものが、バイヤーペルソナとバイヤージャーニーです。

バイヤーペルソナ

前提として、ウェブサイトの訪問者や公式SNSを閲覧する訪問者の誰もが的確というわけではありません。ターゲットとするオーディエンスの範囲を広げれば広げるほどオーディエンスの一人一人に刺さる情報は希釈されてしまいます。そこで、自社の、もしくは特定のイベントやプロジェクトのターゲットオーディエンスとなり得る顧客情報をあらかじめ予測し、具体的に描写していく事が求められます。この時設定されたオーディエンスをバイヤーペルソナと呼びます。

バイヤーペルソナの設定は、既存ユーザーから分析し、設定する事が最も簡単です。

バイヤーペルソナを調査する上での出発点

バイヤーペルソナの調査においては、以下の項目を優先的に見ていきましょう。
・目標はなんでしょうか
・興味やニーズはなんでしょうか。
・行動(検索、購買)のきっかけとなる要因はなんでしょうか。
・情報の収集源はなんでしょうか。

これらの他にオーディエンスのデモグラフィックインサイト、及び購買インサイトについても詳細に設定を行なっていきましょう。

【デモグラフィックインサイト】
・年齢
・ジェンダー
・収入
・ライフスタイル
・趣味
など

【購買インサイト】
・オーディエンスの優先事項
・オーディエンスが抱える課題
・サービス、商品を購入した後に求める成功の定義
・複数ある選択肢の評価方法(購買基準)
・意思決定において重視する観点

既存ユーザー間で共通する属性をまとめていく事でバイヤーペルソナが鮮明に見えてくるでしょう。
具体的に見ていく属性として、オーディエンスがどのような
・デモグラフィック属性
・サイコグラフィック属性
・行動属性
を持っているか。まずはこれらの把握に努めることを徹底しましょう。

バイヤージャーニー

ターゲットとなるオーディエンス「バイヤーペルソナ」の設定が終わりましたら、ペルソナの動きを明確にしていきます。
・ペルソナが持つ自身の課題をどのように「認識」するのか
・ソリューションの選択肢に対してどのような基準で比べ、「検討」するのか
・取引の「意思決定」に至るまでのステップ

この3つを追いかけ、線で結ぶ事で得られる一連の流れを「バイヤージャーニー」と呼びます。

バイヤーが
・どこで製品を見つけたか
・どこで製品を絞り込んだか
・最終的に製品の購入を決定した要因は何か
これらがバイヤージャーニーを定義し、より良いカスタマーの理解につながるのです。

情報の獲得

バイヤーペルソナや、バイヤージャーニーについて理解した所で、おそらく皆さんも思った事でしょう。

「で、どうやってこの情報を手に入れたらいいの?」
と。

既に特定の方法で顧客データの一覧がデータベース上にある場合は、そのデータをもとに、データ分析からいくらでも情報を得ることは可能ではありますが、問題なのは0からビジネスやプロジェクトを始める際に、自身のオーディエンスに関するペルソナ設定やバイヤージャーニーを考える場合です。

情報を得る方法としては
・アンケート
・フォーム
・ヒアリング調査
・営業チームからのフィードバック

などが挙げられます。
・アンケート
アンケートは既にわかっている知見を検証する場合に適した方法です。

バイヤージャーニーの三つのフェーズ

先ほど触れたように、バイヤージャーニーには異なる3つのフェーズが存在します。
・認識
見込み客が問題に直面し、その理解を増やすフェーズです。

・検討
見込み客が課題を特定し、様々な解決策を把握することに努め始めるフェーズ。

・意思決定
見込み客が適切な解決策を特定し、その解決策を提供する最適なブランドや商品を決定するフェーズ。

バイヤージャーニーの3つのフェーズ

潜在顧客のヒアリング、もしくは営業時には対象がどのフェーズにいるかを見極め、それに合った適切な言葉選びを心がけましょう。
例えば、まだ既に検討、もしくは意思決定のフェーズにある顧客は自身で、もしくは他事業者からの提案や面談を通して各ソリューションの基礎知識を持ち、比較検討を重ねている/既に終わらせている状態です。そこに対して、

「〇〇という課題があるんですね、通常こういった問題に対しては△△というソリューションが良いですよ。

と話しても、「知っています。」と言われてしまいますので、的確に自社のソリューションが持つアドバンテージを検討対象と比べて述べる必要性がありますし、課題に対する一般論を話す時間は減らした方が良いでしょう。

逆に認知のフェーズにある顧客に自社商品と他社商品の比較から入ってしまうと、顧客が比較対象のソリューションを認識していない場合も多い上に、まだ自社に適したソリューションもわかっていないため情報過多になって、一度考えさせてくださいから話が進まなかったり、課題やソリューション、業界特性など、一般論がそもそも分かっていない事があるためまずは一般論から知識提供をし、アドバイザーとして関係性を築いていく必要があります。

加えて、ここで得られた情報は全てあなたの考えるバイヤージャーニーの調整、構築を行うためのパーツとなりますので、潜在顧客、もしくは既存顧客へヒアリングを行う場合は必ず相手のフェーズに応じて取る情報を明確にしておきましょう。
(既存顧客の場合、購入まで至っているため、全てのフェーズに関する情報を得ることができます。なので、もし既に利用顧客がいる場合その人たちのヒアリングから始めましょうという話。)

認識のステージでの確認事項

・見込み客が課題を認識した理由
・見込み客の目標は?
・見込み客のコンテンツ利用状況やリサーチの方法は?

検討の段階での確認事項

・課題や目標に対するソリューションは?
・各ソリューションの長所と短所は?
・適切なソリューションを決定する過程は?

意思決定のステージでの確認事項

・候補となるブランドや製品に対する評価は?
・他候補と比較して気に入った点や不満に思う点は?
・購入の決定に関わる人は?

最後に

今回はインバウンドマーケティングの肝となるバイヤージャーニー、バイヤー、バイヤーペルソナについて学びました。

全ては、いかに正確な情報から正確なバイヤージャーニー、バイヤー、バイヤーペルソナを描くかです。

正確な情報を得るためには
・まずは顧客ヒアリング
→顧客の課題と解決策の探し方
→購入の際の比較基準を知る
ここから顧客との共通認識を持ち、的確な情報を共有し、コンテンツとして配信することが重要です。

まだ顧客がいない場合には業界の専門家にヒアリングしても良いでしょう。

そして対話する相手がどのフェーズにいるのか、コンテンツ配信の際にはどのフェーズにいる顧客に向けて配信をするのかを決定し、共有する情報を絞る事が重要です。

また、バイヤージャーニーが、企業にとって「こうであって欲しい!」「こうあるだろう!」と言ったカンパニー・エゴ・ジャーニーにならないようにしましょう。

次回はアドボカシーマーケティングのお話をしていければと思いますので乞うご期待。

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