レシピは門外不出のナンシー銘菓
フランス東部の主要都市のひとつ「ナンシー(Nancy)」は、19世紀末のアール・ヌーボー様式のガラス工芸の町として知られる。
ナンシーは、ロレーヌ地方の主都で、ルイ15世の義父ポーランド王スタニスラスの宮廷都市としても知られる。宮廷都市となればスイーツのメッカ。17世紀に修道女が作ったナンシーのマカロンもあれば、スタニスラス王の宮廷が発祥とされる焼き菓子マドレーヌもある。
さらに「サンテーヴル(Saint Epvre)」というお菓子があると聞き、ナンシーを訪れた。
ナンシーは、街の中央に絢爛豪華な門や鉄扉で囲まれたスタニスラス広場を中心に町が拡がる。
広場から北へ5分も歩くと、飲食街となっている旧市街がある。その中央に「聖エーヴル教会(Basilique Saint-Epvre de Nancy)」が立ち、教会前広場を囲むようにカフェ、レストラン、そして銘菓「サンテーヴル」のパティスリー「アダム・ジャン・フランソワ(Adam Jean-François)」が立ち並ぶ。
「サンテーヴル」は、ヴァニラ風味のバタークリームをアーモンドが入ったメレンゲで挟んだ濃厚なガトー(gâteau)。
ナンシーのもう一つの銘菓「シスターのマカロン(Macarons des Soeurs)」と双璧をなすローカルなスイーツで、ナンシー以外では味わえない。
パティスリー・アダム・ジャン・フランソワは現在の当主アダムさんで四代目、19世紀末創業のナンシーの老舗パティスリーだ。パティスリーの前の看板に、「1882年に生まれた銘菓サンテーヴルは、ナンシーの無視できないケーキになった。いくつかのパティスリーが同じものを作ろうとしたができなかった。材料は、アーモンドのメレンゲにヴァニラ・クリームとヌガーできた弊店の銘菓を是非食べに来てネ」とアダムさんの自信の度合が分かろうというものだ。
「サンテーヴル」は、現在ガラス工芸品のドーム、バカラ、ラリック、お菓子のナンシーのマカロンなどと共に地方自治体公認のロレーヌ地方の5大ブランドに認証されている。
聖人録
聖エーヴル
Saint Epvre
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