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素人がJリーグの試合でボールパーソンをやってみた

昨日(9/21)行われたアスルクラロ沼津と藤枝MYFCとの一戦。世に言う「J3の静岡ダービー」である。この一戦に私はボールパーソンとして参加してきた。サッカーのプレー経験が一切ないド素人にも関わらず。ということで今回はそんな私の初めてのボールパーソン体験の雑感を。

ボールパーソンをすることになった経緯

で、なんでそんな素人の私がボールパーソンを務めることになったのかと言うと事前にクラブ(アスルクラロ沼津)がボールパーソン等のスタッフを広く募っていたからだ。

Jリーグの試合を普段観ている人はご存知だろうが、こういうボールパーソンとかは地元の中学・高校のサッカー部員や、ユースやアカデミーといったクラブの下部組織の選手が務めることが多い。だが、今回の試合は本来8/13(土)に開催予定だったのが台風により延期となって昨日9/21(水)に代替開催となった。更に、クラファンなどで既にご存知な方も多いだろうが、アスルクラロ沼津がホームスタジアムとして使用している愛鷹広域公園多目的競技場は現状では照明の明るさがリーグが定める基準を満たしていない。つまりナイターの開催が不可能なのだ。そういう諸々の事情もあって、キックオフは15:00に。一般的に平日に開催されるJリーグの試合は19:00キックオフのナイターが相場だ。そうしないと人が集まらないからだ。観客はもちろん、スタッフも…。実際、昨日は他にもルヴァンカップの試合や沼津と同様に延期試合の代替開催が4試合ほど行われたが全て19:00キックオフだった。今回の沼津のように平日の昼間にJリーグの公式戦が行われるのは非常に珍しいと思うし、私の記憶の限りではこの試合の他に例を知らない。
てな訳で、平日の昼間のゲームだと学校が終わっていない学生を狩り出すのも難しいだろうから、今回こうやってボールパーソンを募ることになったのだろう。体制のしっかりしたJ1クラブとかだと、その辺も自前のスタッフで何とかできたりするのかもしれないが、J3でましてや先述のスタジアム照明の関係でJリーグ脱退の可能性も囁かれるような小さなクラブにそれだけの人手は無い。まさに猫の手も借りたいという感じだったのではないだろうか。
で、ちょうどこの日が休みで元々この試合を観に行こうかなと思っていた私は沼津のホームページでこの募集を知る。沼津の試合は過去に何度か観に行ったことがあるし、どうせ行くなら新しい経験をした方が面白いだろうから思い切って今回申し込んでみることにした。……「チケット代なしでピッチサイドでサッカー観れるとか最高やんけ!」という魂胆もあったことは秘密である←
因みに、今回はボールパーソンと担架スタッフが募集されていて申し込みを行うGoogleフォームのページにはボールパーソンか担架か希望が選べたのでボールパーソンのみにした。担架なんて持ったことないし、運ぶ際何かしらミスって負傷した選手を落下させるのにビビったからである。まあ、担架はまたいつか機会があれば…。

申し込み後〜試合前日

ネットで申し込んだ後、募集〆切を経てクラブから持ち物や当日のタイムスケジュールやらが記されたメールが届いた。持ち物はジャージや運動靴など動きやすい服装+マスクと非常にシンプル。また、ボールパーソンとして試合中携わる他に、試合前にウォーミングアップ時のボール拾いと試合後のちょっとした後片付けも手伝うようだ。その時間に合わせて沼津駅からのバスの時間を調べてみると行きも帰りも微妙に空き時間ができる。というか帰りに関しては愛鷹広域公園から沼津駅行きの最終バスの時間を過ぎてしまい、そこから3kmほど離れたバス停まで行く必要があるではないか。そんな感じだったので、私が住んでいる静岡市でシェアカーでも借りて車で行こうかなとも考えた。だが、車の運転が別に得意な訳でも好きな訳でもないし、今のところ私は元気で3km歩くのは別に苦ではないので面倒臭いとは思いつつ公共交通でのアクセスを決める。

試合当日

ということで試合当日となった昨日を迎えた。居住地の静岡市から電車で沼津駅へ向かい、ランチを済ませた後、バスで愛鷹広域公園多目的競技場へ。スマホでマンガを読んで小一時間時間を潰した後に、関係者受付へ。普段は一般客としてチケットを購入して入場ゲートから入るが、今回は試合の取材をする記者やマスコミなどと同じところから入場。これも非常に貴重な経験である。

この日の私は"関係者"であった

受付でもらったビブスとキャップを身にまといスタジアムの控室にて説明を受ける。ボールパーソンと担架スタッフとして集った有志は計20人弱。試合前のスタッフ紹介にて「本日のボールパーソン及びレスキューはアスルサポーターです」とアナウンスされていたが、確かにその殆どが沼津サポーターだった。普通に沼津のユニフォームを身に着けている人もそこそこいらっしゃった。ユニフォームほど露骨なものではないけど、アウェイチームの藤枝のチーム名が書かれたTシャツを着ていた人も見られた。まあ、普通集まる属性はそうなるよなあ。静岡市在住のレノファ山口サポーターなんていう変わり者は私ぐらいだっただろう(笑)。

その後ボールパーソンの配置決めとなった。サッカーの試合を観ている人は分かると思うが、ボールパーソンは、
①常にボールを1つ持っていて、ボールデッドになった際に即座に新しいボールを選手に渡す人

②外に出たボールを拾いに行って選手にボールを渡した①の人にボールを渡す人

の2種類の役割がある。で、どうせボールパーソンやるなら①の方が良いよな、ということで配置決めの際に早めに手を挙げて①のポジションを獲得する。因みに、真っ先に埋まったポジションはゴール裏の①の役割だった。
息つく間もなくウォーミングアップのボール拾いを経てキックオフを待つ。私は①の役割のボールパーソンということで試合球を受け取り持ち場に着く。初めて触るJリーグの試合球。これが後々選手が公式戦の舞台で使うことになるのだ。とっても不思議な気分であった。

初めて触ったJリーグ試合球

選手とレフェリーが入場してきてキックオフの笛を待つ。そんな瞬間をボールパーソンとしてピッチサイドで過ごす。まさかこんな体験ができるとは。因みにキックオフ直前にピッチサイドに(ウォーミングアップ時に回収していなかった?)不要なボールが置いてあるということで、隣に居たボールパーソンの人が副審に声を掛けられていた。なんだか羨ましかった(笑)。
そしてキックオフ。開始10分も経たないうちに藤枝の選手がDOGSOで1人減るというまさかの展開にそわそわしてしまう。逆サイドでの展開が多かったり、なかなかボールデッドにならなかったりで、30分ぐらいまで私の出番はなかった。対してゴール裏のボールパーソンはなかなか出番が多い。当たり前と言えば当たり前であろうが。通りでゴール裏が人気だった訳だ。後半は前半よりは出番があったとはいえ、割とゆったりとできる時間もそれなりにあった。もちろんスムーズな試合進行の為、私が居るサイドでプレーが行われている際は常にボールデッドになった時の想定をしていたのでただボケっとしていた訳ではない。とはいえ、逆サイドでプレーしている時に私の出番はほぼ100%と言ってよいぐらい無いので、ピッチサイドシートでゆったりと試合観戦をさせてもらった。しかもパイプ椅子に座っているので背もたれがある。なかなか良い観戦環境であった。また、後半からは沼津は元日本代表の伊東輝悦、藤枝は元レノファの岩渕良太など個人的にも知っている選手が交代投入されなかなか楽しかった。試合終盤に私の出番がやってきたが、なんだかんだスムーズにボールを渡せたので「はよボールくれよ!」と勝利に向けて奮闘する選手に怒られるようなことはなく無事にボールパーソンとしての役目を果たすことができた。一安心だ。

ボールパーソンをやってみて感じたこと

今回、初めてボールパーソンとしてJリーグの試合運営に携わらせてもらった。1人のレノファサポーターないしはサッカーファンとしてスタジアムを訪れることは何度もあるが、その際いつも見ている景色とはまた違ったそれが色々見られて非常に新鮮だった。先述した関係者受付を訪れて入場したのもそうだし、クラブスタッフやマッチコミッショナーを名乗るおじいちゃんからの挨拶も試合前にあった。試合中にピッチサイドから試合を見守る経験はもちろん、試合後には選手のインタビューや監督記者会見の様子もチラッと見ることができた。いわゆる舞台裏という奴である。自分がJリーグの試合運営に携わっていることを強く実感した。また余談であるが、ハーフタイムにトイレに行った際、隣にやってきた人が主審を務めていらっしゃったレフェリーで個人的にテンションが上がった笑。レフェリーもトイレに行くんだな。いや、当たり前であるが。

今回、ボールパーソンとしてJリーグの試合運営に携わらせてもらって実感したのは、Jリーグの試合は思った以上に多くの人が関わって成り立っているということだ。選手やレフェリーはもちろん、いわゆる裏方と呼ばれるスタッフや今回の我々のようなボランティア、実に多くの人によって試合が運営されてちる。試合中だけじゃなくてその準備や片付けにも多くの人の手がかかっている。そのことを1人のサッカーファン・サポーターとして忘れてはいけないと感じた。Jリーグの試合のを開催することは当たり前のように感じるが、当たり前だと思ってはいけない。そのような見方が得られたことが今回ボールパーソンを体験したことによる最大の財産なのかもしれない。レノファも試合前日の準備はサポーター有志に手伝ってもらってやっているので、私もタイミングが合えば参加してみようと思う。

そして、ボールパーソンとしての役目を果たし、試合後の片付けを終えるとクラブスタッフから感謝の言葉とお礼としてありがたいことに沼津の選手のサイン入り色紙を頂いた。

アスルクラロ沼津 安在達弥選手のサインを頂いた

更に、昨日Jリーグ初出場を果たしたベトナム出身のブイ ゴック ロン選手を交えての記念撮影をして頂いた。私のような変わり者(笑)でも快く受け入れてくれ貴重な経験をさせてくれたアスルクラロ沼津に感謝である。本当にありがとうございます!




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