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米国と日本の資本主義は本当に近寄りつつあるのか?


#COMEMO #NIKKEI

公表した声明文は、株主利益を最も重視することが経済全体を前に動かすと考えてきた米国型経営を改める内容だ。顧客や従業員、取引先、地域社会といった利害関係者に広く配慮し、長期に企業価値を高めるという。

但し、具体的な施策が盛り込まれていない以上、過度な期待はしない方が無難だと考えています。

何故なら、グーグルやフェイスブックなど、時価総額のトップグループであるGAFAは、従来からの経営権の取得は株式保有比率において平等という考えから、クラスBに絶対的な権限を与えるという一部のスタープレイヤーに対して経営権を優遇するという背景があるからです。

このクラスBは議決権だけが何倍もあり、配当や残余財産分配などは普通株と同じであることを勘案しても、彼等は財産の保有が目的でなく、経営が目的だということであり、そう言った意味では、従業員、取引先など、ステークホルダーに配慮するガバナンスというよりは、今後経営権と配当の分離というガバナンスの時代が来ると考えています。

私は、経営権と配当を分ける形での株主重視、そしてステークホルダー重視の、ある意味、この二律背反するファクターを両立させることが出来る発行体が、これからの時代のエクセレントカンパニーになるのだと考えています。

日本のここまでの企業統治改革はむしろ、株主重視へ振り子を振るかたちを志向した。それは従業員や取引先、社会を大事にする企業文化の素地がある半面、利益水準は低いままで30年に及ぶ株価低迷を抜け出せないことへの反省からだ。

ここは若干、異論のあるところです。

今までの日本企業は別に従業員や取引先や社会を重要視して、ガバナンスを行っていたわけではありません。

単にそれは、日本の戦後産業振興が間接金融である銀行主体で、株主の権利がずっと蔑ろにされて来ただけの話であり、銀行主導、若しくは会社のために献身的に働いて来て、仕事の出来たエリートサラリーマンの上がりのポストとして取締役になれた人事制度があったからこそ、意識が雇用側、取引先に集中していただけの話です。

よって日本にあるのは、資本主義でも市場原理主義でもない。
そこにあるのは、サラリーマン社会主義でした。

いわば双方離れていた振り子が、米国からは日本の方へ、日本からは米国の方へ寄る動きともみえる。

そう言った意味では、日本の資本主義はようやくステークホルダーの利益とともに、株主利益も勘案しようという動きに意識が向いて来た段階であり、米国と日本の資本主義が歩み寄る様なイメージは、少し意見を異にする部分でした。

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