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居酒屋韓国 000.1 -何も知らないところから-

【これは『居酒屋韓国』というエッセイ集の一つの記事になります。韓国で韓国人の友人たちとの交流を通して経験したことや知ったこと、韓国語についてなど色々と書き綴っています。】

 具体的な私の体験をお話ししていく前に、私が韓国と、韓国の友人と出会ったときの私の状態をお話ししておこうと思います。
 実は私が初めて韓国を訪れたのは高校生の時でした。家族旅行とかではなく、修学旅行で韓国まで行きました。とはいうものの、正直に言ってホテルで楽しくはしゃいだこと以外はどんな修学旅行だったか、ほとんど覚えていません。何を食べたとか、どこに行ったとか、記憶になく、その時は本当に韓国に興味が無かったのだということを今さらながらに実感してしまいます。
 次に韓国と関係を持つ、というか韓国の存在を何となく感じた出来事というのは、在日の方にお目に掛かる機会があった時でしょうか。しかし、それも私からしたら在日と言われても、「同じ日本に住んでいるんだから同じじゃないのかな」とその意味や違いに興味を持つこともなく、気にしないで通り過ぎてしまいました。
 そんな私ですから、ちゃんと韓国の方々と出会うまでは、韓国に対して具体的なイメージも持っていませんでしたし、どんな言葉を話しているのかも知りませんでした。それが、その当時していた仕事の関係で、日本で韓国の方々と一緒に2週間ほど過ごす機会をいただきました。
 お恥ずかしい話ですが、その時の私は「안녕하세요(アニョハセヨ)」という最もポピュラーな韓国語の挨拶の言葉も知りませんでした。ある程度、英語が使えたので韓国語を勉強してから仕事に臨もうとも思っていませんでした。思い返せば、少しでも勉強してから皆さんと一緒に仕事をすれば良かったなと、後悔するばかりです。
 しかし、そんな私が皆さんと一緒に仕事をし、一緒に食事をする中で皆さんとの関係に、共に過ごす時間に、大きな価値を感じるようになっていきました。最初は声を掛け合うにもお互いが躊躇していたのに、そんなぎこちなさがあったことさえ忘れてしまいそうなぐらい、関係が変化しました。(具体的な事は、本編でエピソードと絡めてお話ししていきますね。)
 でも、この2週間の間で覚えた韓国語は一つもありませんでした。この時ですらNO韓国語とは、本当にお恥ずかしい限りです。通訳さんもいらっしゃいましたし、英語である程度コミュニケーションがとれましたから……言い訳にはなりませんが。そんな私が、この3ヶ月後には、初めて自分の意志で渡韓をすることになります。言葉も文化もいまだにまったく知らず、いままで興味すら無かった韓国という異国の地へ、友人たちに会うために。
 今では、それなりに韓国のこと、韓国語も分かるようにはなってきました。でも最初は、書いたとおり本当に「안녕하세요(アニョハセヨ)」すらも私は知りませんでした。それでも飛び込んでしまえば、なんとかなるものなんだと思います。言葉が分からなくても今は、アプリがあります。文化が分からなくても、笑顔とサンキューという言葉があれば大抵なんとかなります。私の居酒屋韓国という小さな冒険譚はそんな何も無い状態から始まったということ、本編を書き出す前にちょっと記しておこうと思います。恥ずかしくもあんなに何も知らず、何も興味が無かった私ですら、今のように楽しい時間を過ごせるようになったことを自分でも驚きを持って懐かしみながら。
そして余計なお世話かもしれませんが、もしちょっと躊躇してしまっている方がいらっしゃいましたら、思い切ってと飛び込んで欲しいという気持ちも込めて。人間なんとかなるし、なんとかしてしまうものだと思うので。

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