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居酒屋韓国 009 -友だちであり続けること-

【これは『居酒屋韓国』というエッセイ集の一つの記事になります。韓国で韓国人の友人たちとの交流を通して経験したことや知ったこと、韓国語についてなど色々と書き綴っています。(小休止は主に韓国語学習について書いています)】

 韓国の友人たちと何処で出会ったかというと、それぞれ違う場所で会ったので、一言では言えません。でも、どうやって友人たちとの関係を維持しているかは、一言で説明することができます。それは友だちの日常に入り込むということです。
 私にはちょっと苦い思い出、というか経験があります。それは若い時にアメリカに1年ほど居たことがあるのですが、今ではその時に知り合った人、誰一人として連絡を取っていないということです。あの時に知り合った方たちと連絡を取らなくても何一つ困ることはありません。ですが何故だか、「どうして連絡をとらなくなったんだろ」と思うことがあります。たぶん、これは後悔なんだと思います。どうして後悔をするのか分かりませんが、もったいないというか、何か寂しいというか、何かが足りないというか失った感じがするのだと思います。
 そんな経験があったので、韓国人の友人ができた時に私は、関係が終わらないようにしようと思いました。それを実現するための方法も、私はその経験から分かっていたので、それを実行すれば良いだけだと思っていました。
 それは、友人の日常に入り込むということです。
 日本でも、アメリカでも、韓国でも同じだと思うのですが、自分の友人は自分にとって特別な存在でありながら、日常です。連絡するのに別に気構える必要もないですし、会うのをためらう必要もありません。日常の中の一つが友人関係だと思うんです。
 それがないと、最初は半年に1度、1年に1度ぐらい連絡を取っていてもそれがなくなっていってしまうと思うのです。そこで私は勇気を出して、まずはこんな連絡をしました。

「今日、日本は天気が良いけど韓国はどう?」

 別に送らなくていいメッセージです。でも、友人のことをふと思い出したときに送ってみたのです。そしたら

「わ!! 元気? 連絡、ありがとう!!」

 というメッセージが返ってきました。予想していなかった分、嬉しかったのかもしれません。自分だって遠くに住んでいる友人から連絡が来たら嬉しいですから、同じような気持ちだったのだと思います。
 後は、カカオトークやLINEについている機能を利用して相手の誕生日にメッセージを送ってみたり、InstagramやFacebookでコメントをまめにしてみたり、遠くに居ながら友人たちの日常に入り込むようにしました。そして、行けるときは韓国に行きます。顔を見て話をして、同じものを食べて飲んで、そんな時間を共有する。その繰り返しがお互いの結びつきを強くしていってくれたと思います。
 もちろん、中には疎遠になってしまった友人もいますが、それでも続いている関係の方が遥かに多く、自分がやったことが間違った事ではなかったのかな、と思っています。
 関係を続ける必要はないと思います。でも、続けることで共に素敵な時間が過ごせるのなら、楽しい時間を過ごしたいと私は思います。そんな楽しい時間が私にとって何よりの気分転換で……あ、これはもはや趣味なのかもしれません。そんな趣味はないと言われしまいそうですが、私にとっては、なかなか会えない友人たちと過ごす時間が趣味の時間なのかなと感じられます。関係を続けるというのは、簡単なようで簡単ではないことだと思います。でも、そこに楽しい時間があるのなら楽しく過ごしたいと私は思います。皆さんも皆さんなりのスタイルで友人との関係を楽しんでみてはいかがでしょうか。
 それにしても、あの時に恥ずかしさを押しこらえて送ったメッセージ

「今日、日本は天気が良いけど韓国はどう?」

 未だに韓国の天気がどうだったのか気になっています。連絡が来たことが嬉しかったのか、「韓国には来ないの?また会いたいね」と話題が変わってしまったので天気がどうだったのか聞けずじまいでした。

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