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見る、見られる。(2019/2/11)

先日、選手達が、春の大会に向けてミーティングをした。

私が感じる、今のチームの長所は、冷静に客観的にかつ端的に、自分達を分析できることだ。
中学生ながらに、その年齢以上の賢さを感じることが多々ある。

このミーティング中も、驚かされる点が沢山あった。

何に驚かされたか。

それは、選手達の「聞き取る力」である。
練習中に選手達へ伝えた一言はもちろん、毎練習後のミーティングで何気なくした技術指導の一言も。
「あ、それ覚えてくれてるんだ…!!」と、思わず嬉しくなってしまうようなことまで、自分が思っている以上に『しっかり』聞いている。


以前、何かの本に書いてあった。

人間の脳とは不思議なもので、言われたその場では聞き流しているようでも、耳を通り抜ける時に『いい話だな』『そんな考え方もあるのか』と興味を持ったことは、頭のどこかに残っている、と。


指導者にとって、自分の指導を実戦で活かしてもらえるほど嬉しいことはない。

自分の伝えたことを、選手達が試合で発揮してくれるであろうと期待が膨らむ、そんな時間だった。
試合で彼女達の「アウトコール」が響き渡るグラウンドに行くのが楽しみだ。


公立中学校の1年生選手にも、今日の練習の合間に、こんな話をしてもらった。
「加藤さん(私)のショーバン縛りノックを受けてから、ショーバンを捕るのが本当に楽しくなったんですよ!!」

彼女がこれを伝えてくれたからこそ、競技を楽しむきっかけを与えることができたんだと、身を持って実感できた。
満面の笑みを浮かべて、意気揚々と話す彼女を見ながら、私もつられて笑顔になった。
これもまた、格別の嬉しさだった。


これら全てを通して言えるのは、選手達がどれほどその指導に対して、意志を持って聞いてくれているか、あるいは、意志を持って実践しようとしてくれているか。

これがポイントになるということ。

だからこそ、その『意志』を持たせられるかというのが、重要になってくるのだろう。

指導者が選手を見ているのと同じように、選手もまた、指導者を見ている。すなわち、指導者は、選手に“見られている”。

熱意が測られているかもしれないし、指導内容が正しいのか精査されているかもしれないし、髪型やファッションをチェックされているかもしれない。笑

『意志』を持たせるのにも、様々手段があると思う。
強制や抑圧というのも、その1つだ。
ただし、私はそのやり方が、自分自身あまり得意ではない。そうなったときに、行き着いた手法は「言葉」だった。

人を動かし変える言葉というのは、感情を刺激する言葉である。
人間の行動を司る二大要素は、頭脳と感情と言われている。
人間はまず、感じることで考え、そして動く。だから、すべての始まりは、感情を動かすところにあると思う。


プロ野球の吉井ピッチングコーチは、著書にこう書かれていた。
「とにかく選手と話し、何を考えているのか、どう思っているのか、練習方法・疑問・悩みを教えてもらう」

選手の話を聞くときには、『ペーシング』を行う。
ペーシングとは、表情・態度・ジェスチャー・うなずきといった視覚的情報や、声の大きさ・トーン・スピードを選手と合わせることによって、プレーヤーにとって話しやすい状況を作ることである。

選手がこちらの状況を探りながら、余計な遠慮をしたり、本心を隠してしまったりすることがないように。


指導者が選手に変化(成長)を求めるのと同じように、指導者にもまた変化が求められる。


その変化の評価をしてくれるのは、選手達だ。

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