【随想】太宰治『猿面冠者』
若者の全能感、それは現実に踏み出した瞬間あっさり打ち砕かれる。何であれ、挫折は必ずするものだ。挫折を知らぬは挑戦を知らぬに等しい。進もうとすればこそ転ぶのだから。
まずは模倣でよい。模倣こそ技量を磨く最高の訓練だ。言葉では伝わらないこと、説明し切れないことがある。そもそも他人の言葉の真意を完璧に了解することなど出来ない。真似は動きで動きは現実だ。頭の中はどうあれ現実に良い動きをしているのなら、それは技量が高いということだ。同じ動きをすれば同じ結果となるのだから。理屈は後から考えればいい。見取り稽古の本質はそこにある。師匠は教え渋っているのではない、むしろ正確に教えようとしているからこそ口には出さない。師は「見ろ」と言う、「聞け」とは言わない。
素晴らしいことです素晴らしいことです