思春期の渇き、焦り、怒り。訳の分からぬまま無限に湧き上がる感情の奔流に飲まれ怪行に走る。意味も無く壁を殴り穴を開けた。小学校で作った工作を叩き壊した。頭をぐるぐる振り回し、拳をぐっと固めて自分の腹を思い切り殴った。何度も、何度も、鳩尾に上手くめり込ませる感覚を掴むまで殴った。何でもよかったのだ。思春期は全てが気に入らない。何かを破壊したくてたまらない。
それはきっと無力な自分への不満だった。何もできない自分への憎悪だった。狂った頭で腐った世の中だと思っていた。何もかも間違っている、人間も、社会も、人生も、生まれて来たことも。本気で自殺しようと思った。いつ、どのように死ぬか、そればかり考えていた。詳細な計画をノートに記した。
今、生きている。なぜ自殺を実行しなかったのか、もう覚えていない。計画したことで満足したのかも知れない。変化は億劫だし、実行は面倒だ。あの頃は、生まれた惰性で生きていた。
生き延びた。それは強さ弱さの問題ではない。たまたまだ。だけど。
人生など雑でいい。人生を粗末にしよう。今なら笑って言える。