偉大過ぎる存在の側にいる者の苦しみに、同情出来る者は少ない。太陽ははるか遠方にあるからこそ、地球はその恩恵を享受できる。もし今よりほんの少しでも近付けば、たちまち燃やし尽くされるだろう。深すぎる闇で眼は力を失うように、眩すぎる輝きもまた力を奪う。深淵の闇から脱した者と満遍の光に陰を得た者とは、同じ喜びを味わうのではなかろうか。汚れの無い人生を歩んでいる人は、常に人生が汚れる恐怖に苛まれている。完璧を目指している人は、それが永遠に手に入らない焦燥に苛まれている。傷は、解放である。或偉大が消え去る時、側にいた者だけが知る、顕らかな悲しみと、潜んでいる喜びと、二つある。