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【随想】太宰治『二十世紀旗手』

私は、巡礼志願の、それから後に恋したのではないのだ。わが胸のおもい、消したくて、消したくて、巡礼思いついたにすぎないのです。私の欲していたもの、全世界ではなかった。百年の名声でもなかった。タンポポの花一輪の信頼が欲しくて、チサの葉いちまいのなぐさめが欲しくて、一生を棒に振った。

太宰治『二十世紀旗手』(短編集『二十世紀旗手』)新潮社,1972

付いて来いと言いたいのではない。
この旗は、ここに居るという目印なんだ。

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