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【随想】芥川龍之介

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#芥川龍之介

【随想】芥川龍之介『続西方の人』

エンドロールを逆再生して興醒めした 人生の終わり方を知りながら生きるのは辛い いつか必ず来…

Junigatsu Yota
7時間前
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【随想】芥川龍之介『西方の人』②

 誰よりも母を愛する者は、同時に誰よりも母を憎んでいる。母が魂の中から消えない限り、この…

【随想】芥川龍之介『西方の人』①

 潜在意識の顕現たる原初の言葉から構成される世界、そんな常人には見ることさえ叶わぬ世界を…

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【随想】芥川龍之介『侏儒の言葉(遺稿)』

ありふれた惑星にありふれた歴史を繰り返す 瞬きより短い現象が発生と消滅を繰り返す 環境と反…

Junigatsu Yota
10日前

【随想】芥川龍之介『侏儒の言葉』②

 孤独が最高の自由であることに疑いの余地は無い。しかし、人は自由を求め、自由に憧れながら…

Junigatsu Yota
2週間前
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【随想】芥川龍之介『歯車』②

ウロボロスは自分の尾を喰った 犭貪は自分を全部喰った サトゥルヌスは我が子さえ喰った 我が…

Junigatsu Yota
3週間前

【随想】芥川龍之介『歯車』①

 自身の精神が崩壊する過程を冷静に観察している自分を更に観察している自分も居て、そこに恐怖や不安は無くて、それはそうなるべくしてなるんだと、寧ろ安堵に近い納得と満足を得ている自分が居る。だが、自分というものを意識する時、自分を他者として扱う何者かが居る筈だ。その何者かに、遂に出会ったことは無い。なぜなら、出会う為には、二人が出会っている光景を観察する新たな何者かが必要になるからで、まるで合わせ鏡のように観察者と観察対象が無限に増殖していくことになる。そんな無限には耐えられない

【随想】芥川龍之介『或阿呆の一生』③

 膿んだ日常に取り残されるように旅路に就いた。狭い海峡に架かる巨大な吊り橋を渡り、そこは…

Junigatsu Yota
4週間前

【随想】芥川龍之介『或阿呆の一生』②

 死ぬときは一人で死ぬ? いや一人では死ねないね。道連れにするんじゃないぜ。ただ、死ぬと…

Junigatsu Yota
1か月前
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【随想】芥川龍之介『或阿呆の一生』①

 なに、簡単なことなんだ。要するに、生きている実感が欲しいのさ。しかしこれが中々どうして…

Junigatsu Yota
1か月前

【随想】芥川龍之介『河童』②

 生に執着せずにいられるのは賢者と狂者の特権なのかも知れない。生が死の対義とならないのも…

Junigatsu Yota
1か月前
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【随想】芥川龍之介『河童』①

 狂人にはあの世が見えるらしい。それもはっきりと。それはそれは醜い世界で、目を焼くような…

Junigatsu Yota
1か月前
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【随想】芥川龍之介『蜃気楼』

 夢を夢と断ずる現実を現実と断ずる者は、現実を現実の外から眺めることのできる者でなければ…

Junigatsu Yota
1か月前
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【随想】芥川龍之介『玄鶴山房』

 歳を重ねて得たのは畢竟、積み上がった後悔の山だった。それは増える一方で、決して減らないし、まして都合良く貴重な宝物に変わったりなどしない。肉体的にも精神的にも不快なそれらは、時を経て、多少乾いたり色褪せたりはするものの、どこまでも汚物でしかなかった。  生き続けると、陳腐な幸福も幾つか手に入るけれど、いかんせん陳腐だからすぐに愛で飽きるし、それよりも強烈な悪臭を放ち、掴むと爪の中までぞぞっと潜り込んでくるアオミドロの塊のような不幸が、心の中に膿のように溜まっていく。生きるこ