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夏の終わりに

子供の頃は夏になると、自治会で海の家にいって、みんなで泳いだり、遊んだり、食べたりした。それが中学にもなると、自転車で近くの海に行けるようになり、毎年のように友達と泳ぎに出かけるのが夏の習慣だった。

だいたい、お盆ごろになるとくらげが発生するようになり、それがぼくらの夏の終わりの合図だった。お盆ごろになると幾分夜温が低くなり、浅瀬までくらげが来やすくなるのだろう。そう考えると、今は温暖化の影響か、猛暑も続いているし、クラゲの発生も遅れているのかもしれない。ということはもう少し、海を楽しめる時間が増えているということなのだろうか。

ところが、子供が小さい頃はよかったが、今では一緒に海に行くこともなく、とはいえ一人で海に行くのもつまらないので、残念ながら今では海を楽しむには至っていない。せっかくクラゲが出るのを遅らせてくれているのに無念だ。

今日は久しぶりにその海に出かけた。出かけたというよりはある目的のために道を進めるうちに海に出てしまったというのが表現としては適当だろう。

当然ながら、もう泳いでいる人はひとりもいなくって、波も心なしか寂しげだった。そんなときにはこの音楽がよく似合う。

ビーチボーイズ 「ドントゴーニアザウオーター」



さて、今回たまたま海に出てしまったのは、そこまでのところで気にかかる目当ての場所があったからである。それが前回紹介した宇賀神社である。

出雲神話一のモテ神である大国主命が初めて袖にされた女神・綾門日女命(あやとひめのみこと)を祀る神社がちょうどぼくらが通っていた海に行く道中にあるのである。ちょうど島根半島の山々の間を抜けるように進むと、小高い丘のような場所に集落があってその中にこじんまりとその神社が立っていた。

海に抜ける道から少し外れているので、道中からは見えない。地域で大切に守られている神社という風であり、好感が持てる。ひょっとして綾門日女命(あやとひめのみこと)もそうやって大国主命からかくまわれたのであろうか。

神社の前には公民館がある
細い道なりにすぐ鳥居がある

細い道なりにすぐ鳥居があるので少々驚くことになる。隣には小さな駐車場が設けられていてそこに車を止めることにした。鳥居右横に由緒書きがあってそこには主祭神として綾門日女命(あやとひめのみこと)と大国主命が並んでいる。あれ?

大国主命を袖にしたのではなかったの?



この由緒書きによれば、「播磨国風土記」に当時、男性が女性に求婚する場合、女性は身を隠し、それを求婚者が探す風習があったという。それが大国主命の綾門日女命(あやとひめのみこと)を探したこと(宇賀の由来)に当たるというのである。

はたしてそうだろうか?

だとしたら、大国主命の妻たちはみな、はじめは身を隠したことになる。しかし、そういった記述はどこにもない。やはり、綾門日女命(あやとひめのみこと)が身を隠したのは特別な出来事だったと考えるべきではなかろうか。

まぁ、神話の話なので真相はわからない。地元の方たちがそれを信じているのなら、そちらを優先するのが筋というものだろう。

夫婦像

境内脇にはおそらく大国主命と綾門日女命(あやとひめのみこと)であろう小さな夫婦像が飾ってあり、大国主命のお面のようなものが置いてあった。

結局、綾門日女命(あやとひめのみこと)が大国主命を袖にしたその後については判然としなかったが、少なくとも綾門日女命(あやとひめのみこと)がそのために死んだといった悲劇はなかったように感じた。

出かけたのは夕方近くになってからだったけど、すでに山影は寒く感じられ確実に秋の気配が近づいているのを肌で感じた。

もう夏は終わったんだ

海が寂しげにさざ波をよせて返してくれた、そんな日曜日の夕暮れ時だった。



今回も最後までお読みくださり、ありがとうございました。

よかったら出雲にお越しの際は宇賀神社にもお寄りください。

綾門日女命(あやとひめのみこと)は隠れずに待っていますよ♪

それではお待ちしています m(_ _)m


こちらでは出雲神話から青銅器の使い方を考えています。
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