超時空薄幸児童救済基金・13

#小説 #連載小説 #ゲーム #SF #ファンタジー

(はじめに)
※私信部分は完成しています。引き続き「私」の感想を追加していきます。

 マガジンの冒頭でも簡潔に説明していますが、奇妙な慈善団体に寄付をし、異世界で暮らす恵まれない少女の後見人となった「私」の日記です。

 私信(毎月、少女から届く手紙)と、それを読んだあとの「私」の感想部分が有料となっています。時々、次の手紙が届くまでのインターバルに、「私」が少女への短い返事を送るまでの日記(Re)が書かれることがあります。こちらは、基本的に全文が無料となります。

(バックナンバーについて)
 マガジンのトップで一覧を見てください。
 時系列の若い順に並べてありますから、文末にある前後のリンクで流れを追って読むことができます。

※もともとは、現実の時間に合わせて月一回の更新をしていましたが、本業の執筆が忙しく、現在は季節がずれてしまっています。ご了承ください(一週遅れでこの回は合いつつありますが……)。

では、奇妙な「ひとりPBM」的創作物の続きをお楽しみください。

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 新しい手紙を持って連絡役の男が現れたのは、きっかり1か月後だった。

「『至急』とか言ったから、彼女を急かしてしまったかな」

「いえ、砦の復旧作業が順調なのでしょう」

「ふむふむ。じゃあ、あれから竜は襲ってきてないってこと?」

「最新の情報は、彼女の手紙に書かれていると思います。私どもは、あちらの担当者からの情報でしか把握できていませんが、今のところ竜が飛来したという報告はありません」

「騎士エンドゥキの消息は……?」

「残念ですが、良い報せはなにも」

 あの老練な騎士長が不在のままで、コトイシの砦はやっていけるのだろうか? それに、もし竜がこのまま来なかったとしたら、応援に駆けつけた騎士たちを持てあましてしまうのではないか? 費用面での心配はないとはいえ、気にかかるな……。
 まあ、騎士たちの応援は竜に対抗するだけでなく、エンドゥキ捜索のためでもあるから、それで彼の消息がつかめるのならいいのだけれど……。

 男が言った。

「ああ、そうだ。髪飾りの件ですが、現在、目当ての職人を探しています。コトイシまで行ってくれる物好きな職人は、都にはそうはいませんからね。もうしばらく時間がかかりそうです」

「そうか。手鏡の時も大変だったんだね」

「ええ。あのときと同じ職人に頼むつもりなのですが、定住者ではないそうで。探すのに時間がかかるようですが、遅くとも来月までには頼めるかと」

 そう言うと、連絡役の男はいつものように書簡と訳文のコピーを手渡して去って行った。

 行方不明の騎士エンドゥキは、どうなったのだろう……。
 私は、さっそく少女の報告に目を通した。



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