超時空薄幸児童救済基金・15

#小説 #連載小説 #ゲーム #SF #ファンタジー

(はじめに)

 マガジンの冒頭でも簡潔に説明していますが、奇妙な慈善団体に寄付をし、異世界で暮らす恵まれない少女の後見人となった「私」の日記です。

 私信(毎月、少女から届く手紙)と、それを読んだあとの「私」の感想部分が有料となっています。
 また、時々、次の手紙が届くまでのインターバルに、「私」が少女への短い返事を送るまでの日記(数字のあとにReとつくもの)が書かれることがあります。こちらのReは基本的に全文が無料となります。

(バックナンバーについて)

 マガジンのトップで一覧を見てください。

 時系列の若い順に並べてありますから、文末にある前後のリンクで流れを追って読むことができます(今もその仕様が続いているといいのですが)。

※もともとは、現実の時間に合わせて月一回の更新をしていましたが、本業の執筆が忙しく、現在は季節がずれてしまっていました。最近はだんだんと合いつつありますが、またずれる可能性もあります……。

では、奇妙な「ひとりPBM」的創作物の続きをお楽しみください。

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 少女からの手紙は、彼女が従騎士になってから二度ほど遅れたことがある。
 一度目は竜が砦を襲ったとき……。
 二度目は、彼女が砦に戻ってきたときだ。
 毎月届くはずの手紙は、少しずつ遅くなっただけなので、全体として1~2ヶ月の遅れが生じたことになる。

 だが、今回は私の言づてが早かった(そして、超時空薄幸児童救済基金もそれに同調して最速で送ってくれた)せいか、彼女の反応も早かった。
 すぐに手紙が書ける状況ということなのだろう。

「手紙が村に届けられている以上、彼女が無事なのはたしかですが……」

 書簡と訳文を手渡しながら、連絡役の男が心配そうな顔をする。

「君のところの行商人は、あれから砦には入ってないのかい?」

「はい。あまり目立つと良くないですから。ただ、村人の話では、髪飾りの職人は砦に向かったそうです」

 騒動は収拾したのだろうか?
 もしそうだとしても、どのような形で? 言づては役に立っただろうか?
 トゥーエティは、私の分析を元にして、賢く立ち回れたろうか……。
 賢明な彼女のことだ、きっと大丈夫だと思う。
 本当は、たとえ不器用でも、騎士を思う彼女の真摯な気持が伝われば、策を弄するよりもずっといい結果になるはずなのだが……。

「度々で申し訳ありません。また、手紙の内容を私にもお伝え願えますか? 明後日までには必ず参りますので……」

「わかった」

 私はそう約束して、男を見送った。

 うまく収拾しているとよいのだが……。


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