超時空薄幸児童救済基金・14のRe

#小説 #連載小説 #ゲーム #SF #ファンタジー

(はじめに)

 マガジンの冒頭でも簡潔に説明していますが、奇妙な慈善団体に寄付をし、異世界で暮らす恵まれない少女の後見人となった「私」の日記です。

 私信(毎月、少女から届く手紙)と、それを読んだあとの「私」の感想部分が有料となっています。時々、次の手紙が届くまでのインターバルに、「私」が少女への短い返事を送るまでの日記(Re)が書かれることがあります。こちらは、基本的に全文が無料となります。

(バックナンバーについて)

 マガジンのトップで一覧を見てください。

 時系列の若い順に並べてありますから、文末にある前後のリンクで流れを追って読むことができます。

※もともとは、現実の時間に合わせて月一回の更新をしていましたが、本業の執筆が忙しく、現在は季節がずれてしまっています。ご了承ください。

では、奇妙な「ひとりPBM」的創作物の続きをお楽しみください。

-------------------------------

 砦の少女は危機的状況にある。
 手紙の内容からして、事態は緊急を要した。
 連絡役の男が来るのを待ってはいられない。
 そこで、寄付をしているもうひとりの少女(おんぼろ宇宙船の女船長)用のメールを送る宛先に、緊急措置として、彼女の状況と、送って欲しい私からの言づてをメールにして伝えた。

 彼女が取るべき行動、どの騎士とどのように交渉して事態を解決するべきか……少し長めになってしまったが、彼女からの手紙を読んだときに考えたことをこと細かに書き、「早急に彼女に伝えて欲しい」と付け加えて置いた。
 本当は、騎士たちの心理をふまえた交渉術について、もう少し細かく指示したいところだったけれど、あとは彼女の機転に頼るしかないだろう。

 メールを送ると、連絡役の男はすぐに訪ねてきた。
 この辺が、この組織の非効率的なところだが、なにかしら決まりがあるのだろう。

「言づては送ってくれた?」

「もちろんです。間に合うといいのですが……」

「なにかあったら砦からの脱出も、とは言ったけど、彼女のほうが立て籠もってしまうとはね」

「そうですね。うまく騎士たちと話し合えると良いのですが」

「君たちのほうからは手出しできないわけか」

「基本的には、見守ることしかできませんし、現状では砦に入るだけでも難しいかと。言づても門前で渡しただけのようですから」

 そうなのか……。
 次の手紙が、同じ場所から送られてくるようなことにならないよう祈るしかない。
 騎士たちの争いが激化したら、それ以上にまずいことにもなりかねない。
 心配だ……。

「髪飾りの職人も、村で足止めされているようです」

「あ、そっちのことは頭から飛んでいたよ」

「ともかく、なにかわかり次第お伝えしますので」

「別のルートを使ってしまって悪かったね」

「いえ、良い判断でした。緊急でしたので」

 そんな話をして、連絡役の男は帰っていった。
 うまくいってくれるといいんだけど……。

テキストを読んでくださってありがとうございます。 サポートについてですが……。 有料のテキストをご購読頂けるだけで充分ありがたいのです。 ですので、是非そちらをお試しください。よろしくです。 ……とか言って、もしサポート頂けたら、嬉しすぎて小躍りしちゃいますが。