超時空薄幸児童救済基金・12

#小説 #連載小説 #ゲーム #SF #ファンタジー

(はじめに)
 マガジンの冒頭でも簡潔に説明していますが、奇妙な慈善団体に寄付をし、異世界で暮らす恵まれない少女の後見人となった「私」の日記です。

 私信(毎月、少女から届く手紙)と、それを読んだあとの「私」の感想部分が有料となっています。時々、次の手紙が届くまでのインターバルに、「私」が少女への短い返事を送るまでの日記(Re)が書かれることがあります。こちらは、基本的に全文が無料となります。

(バックナンバーについて)

 マガジンのトップで一覧を見てください。

 時系列の若い順に並べてありますから、文末にある前後のリンクで流れを追って読むことができます。

※もともとは、現実の時間に合わせて月一回の更新をしていましたが、本業の執筆が忙しく、現在は季節がずれてしまっています。ご了承ください。

では、奇妙な「ひとりPBM」的創作物の続きをお楽しみください。

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「念のため聞いておくけど……私の書いた手紙が、そのまま彼女に届くわけじゃないよね?」

 いつもの「言づて」よりずっと長い「手紙」を差し出しながら私が言うと、連絡役の男は「はい」とうなずいた。

「もちろんです。翻訳されて、手書きされたものだけが届きます」

 そうだろうな。
 でなきゃ、彼女が戸惑うだけだ。
 もちろん、手紙には私が異世界の人間であることも書いたりできない。あくまで、あちらの世界の後見人、シォナン・ドルクドとして、“タフルィース”のおじさまとして、書かなければならないのだ。
 余計なことを書いて翻訳段階で修正・削除されるのは(この間、手鏡のことで注意されてもいたし)悔しいので、できるかぎりあちらの世界の住人になりきって書いてみた。

 彼女からのものに比べたらごく短い手紙だが、こんな感じだ……。

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親愛なる“T.A.”へ

 手紙をありがとう。
 貴君の報告は、毎回楽しみにしている。
 特に今回は砦の窮状を詳しく知ることができた。
 本来、後見人は手紙を送らないものだが、緊急事態ゆえ(また、貴君の努力に感じ入ったこともあり)特別の措置としてこの手紙を送る。

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