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錆(サビ)漆の作り方

こんにちは。今日は、こちらの記事に出てきた、錆(サビ)漆の作り方をお伝えします。

金継ぎされた器を見ると、表面は金なので想像つかないかもしれませんが、
金は全体のほんの一部、表面の膜のようなもので、その下のほとんどがこの黒い漆パテなのです。

金が上手く光るか光らないかは、この錆漆で作っていく下地作りにかかっていると言っても過言ではないくらい金継ぎの行程の中でも要と言っても過言ではない錆漆。使うのは、砥の粉、水、生漆です。(全て金継ぎセットの材料、道具を用いて説明しています。)

① 先ずは、砥の粉を板の上に出します。(金継ぎセットに入っているスプーンにすり切り3/1位が適量です。)よく見ると5mm程度の塊があるので、それらをヘラで潰して全体をサラサラにます。

② サラサラになった砥の粉に水を少しずつ足して全体をまとめていきます。
スポイトで板の右下あたり水を置きます。

目安としては、ピーナッツバター、もしくは口紅くらいの質感をイメージしてください。少ししっとりしていて、程よく硬さのある状態にもっていきます。

水を入れ過ぎてしまうと、緩くなり過ぎてしまいますので、その時は、ティッシュを一枚上から押し当てて水分だけ取り除いてあげて下さい。

③しっとりとしたペースト状になったら、次は生漆を加えていきます。
こちらも板の右下に、ペースト状のパテと同量の生漆を出してヘラを使って少しずつ加えていきます。ヘラのシナリを利用して、押しつぶすように生漆を砥粉のペーストに混ぜていきます。

④出来上がった錆(サビ)漆は、このようにサランラップに入れて密封してあげると、冷蔵庫の中で2〜3日の保存が可能です。
気温や湿度の高い梅雨時期は、作業する端から固まっていきますので、
作ったら直ぐにこのようにラップで包むと慌てずに作業が進められます。

最初にもお伝えしましたが、この錆(サビ)漆は、金継ぎの要と言っても過言ではない素材です。作る際の気温や湿度によって、水や漆の加え加減が異なってきますので、何度か作ってその違いを見てみるのも楽しいですよ。

作り方は以上です。
こちらの記事「小さな欠けの直し方」と合わせてお読み頂くとより理解が深まるかと思います。

何においてもそうだと思うのですが、下地や土台って、目立たないですよね。メイクに例えるとわかりやすいでしょうか。

目につくのは綺麗な色のアイシャドウやチークなどですが、下地であるお肌が整っていないと、いくらその綺麗なものを加えても、あまり上手く色が出なかったりしますよね。。

金継ぎもそれと同じで、この目立たない下地作りをいかに丁寧に出来るかが仕上がりを左右するのです。その過程を辛いなぁと思わず時間をかけてゆっくり楽しんで頂けると幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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