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英国で35年ぶりにアナログレコードがCD売り上げを上回る


Twitterで流れてきたこの記事。

1980年代の不況下の英国、1984年リリースのライブエイド‘Do They Know It’s Christmas?が1987年にチャートで再浮上した、その時がアナログレコードの売り上げがCDの売り上げを上回った20世紀の最後の年で、そこから35年、実に35年ぶりに英国でアナログ・レコードの売り上げがCDの売り上げを上回ったが、その大きな理由はテイラー・スウィフトが新作をリリースしたから。

ティーンから若い世代を中心に広がるテイラー・スウィフトのファンはいくつか提案されている物理メディアの中でもアナログ・レコードを好む傾向がある。10月リリースされた新作は初週だけで62,000枚近くのアナログレコードを売り上げた。この数字はハリー・スタイルズの新作の、リリースから今までのレコード販売枚数よりも多い。Spotifyでのストリーミング数世界トップ5に入るテイラー・スウィフトはフィジカルでの売り上げも突出して多い。2021年も大物のリリース・ラッシュで英国国内だけで500万枚以上のアナログ・レコードの売り上げがあったが、2022年のテイラー・スウィフトのリリースをきっかけに550万枚を突破して、CDの売り上げを追い抜いた。

とはいえ、現代における製造コストが、CDよりもアナログ・レコードの方が高いため、設定される価格もCDよりレコードの方が高いから、売り上げにおいては抜かれてしまったということ。

ざっとそんな感じの記事なんですが、テイラー・スウィフトの場合はカラー・ヴァイナルを複数種リリースしてるのでスウィフティーたちが全種類買い集めるオタクの消費行動をとった結果、それがブースト機能として働いたわけですよね。ただ、英国でCDの売り上げを35年ぶりに上回ったというのは業界的に当然大きなニュースではあるし、今後のビジネス戦略にも大きく影響すると思います。

特に大物アーティストは当たり前のようにフィジカルも複数種のメディア、アナログ・レコードだけでもカラー・ヴァイナルと通常盤をリリースしたり、CDもカセットもと、多くの媒体を用意する傾向があります。メジャー・レーベルもヴァイナルのプレス工場の確保に頭を悩ませているでしょう。

最近の英国盤ヴァイナルはチェコ製が目につきますが、現時点での生産拠点として確保されているのがチェコなんでしょう。生産ラインは需要に合わせて簡単に増やしたり減らしたりできません。なにしろこの30年の間に世界のレコード生産工場は潰されてきて、世界中を見渡しても数えるほどしか残ってない、そんな状況まで行ったところからの巻き返しなので、どこまで設備投資をするのかが大きな課題なわけです。需要は大きくなる一方だけど、そのトレンドがどこまで続くのか予測不可能な以上、気軽に設備投資はできない。それが今までの流れだったけど、多分このニュースは業界の潮流に一石を投じることになると思います。東欧やアジアなどに生産ラインを増やしていく方向に、業界は向かうでしょう。何しろ物理的に買ってもらう、それが最重要課題ですから、CDよりも高いアナログ・レコードの方が売れるというならそっちに注力する。それにちょうど、「CD耐久年数30年問題」に差し掛かってるこの時期です。

元々30年程度の耐久年数が前提のメディアなので、古いCDは劣化が始まっている頃。そろそろCD憎しが理由でのヴァイナル再評価まであと一歩というところでしょうか。

とはいえ、日本ではレコード・プレーヤーを持ってないし聴き方もよくわからないからヴァイナルには手を出さないという若者も多そう。

まあレコードで買って、ストリーミングで聴く、そのスタイルを私は提唱しているのでみなさんも是非、このトレンドに乗っかってヴァイナルを購入してみてください。

タワー・レコードならコンビニ受け取りにすると1枚から送料無料です。


今日の1曲
彼女も熱心なスウィフティーのひとり。彼女のInstagram見ててテイラー・スウィフトの新作リリース日を知った私。


今日のパンが食べられます。