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“コロナショック”で日銀は無制限に国際買い入れ方針。マイナス金利政策の出口戦略はどこへ?

100年に一度の緊急危機と言われる「リーマンショック」を受けて世界は市場に大量の公的資金を流す異例の金融緩和政策をとった。その出口戦略を見いださなければならない時に起きた新型コロナウイルスの感染拡大。世界だけでなく日本の景気の先行きと金融政策の行方がますます不透明になった。

○新型コロナ緊急経済対策は赤字国債頼み
きのう新型コロナ緊急経済対策の補正予算が成立した。その額は25兆6914億円で補正予算としては過去最大。政府は当初検討した「一世帯あたり30万円の給付」(4兆206億円)を取り下げ、いったん閣議決定した補正予算案を組み替える異例の措置をとり、「1人一律10万円の給付」の経費として8兆8857億円多い12兆8803億円が計上された。しかし、財源がないことから新規の国債発行に頼らざるを得ない状況。今年度の新規国債発行は当初は32兆6000億円だったが、58兆2000億円と過去最大規模になり、いわゆる赤字国債がどんどん増え続ける見通し。今年度末時点での国債の発行残高は1033兆円に増加する見通し。1000兆円を超えるのは初めて。このツケは国民に回ってくることになる。  

○日銀の国債購入無制限に 80兆円の枠を“撤廃”
こうした状況の中、中央銀行である日銀は先月27日の金融政策決定会合で「年間80兆円をめど」にしてきた国債の買い入れ上限をなくし、これまで以上に積極的に買い進める方針を示した。金利上昇への不安をなくすことが狙いで、黒田総裁は「金融政策上の目的で行っており、政府の資金調達を支援するためではない」と説明しているが。3月も金融緩和を決めており、2か月連続で金融緩和に舵を切ったことになる。マイナス金利政策を続ける日銀としては手詰まり感の中、さらなる異例の措置に踏み込んだ。

○日銀が赤字国債や企業債務の“後ろ盾”に
国債の発行残高は去年末時点で897兆円。(国民1人当たり713万円)日銀はそのうちの43%を保有している。つまり国の借金の4割以上を日銀がかぶっている状態。さらには企業業績が悪化し、連鎖倒産という事態を回避するために、日銀は企業から社債などを買い入れる枠も3倍程度に増やすことに加え、金融機関が抱える住宅ローンも担保として受け入れる方針を打ち出した。いまいちばんの問題は企業の資金が足りなくなることで、企業の「資金繰り」支援が最優先という考え方。つまり日銀はこれまで以上に国や企業の債務=借金の後ろ盾になるということ。

○日銀の出口戦略は一体どこへ?
コロナの前は「いつか金融緩和を戻さないといけない=出口戦略」という話があった。黒田総裁がどう出るのか、そこに関心が集まっていた。「こんな事になる前に、ちょっとでも緩和を締めておけばよかった。景気は良かったのだから」という声も出ている。アメリカの中央銀行にあたるFRBもゼロ金利政策に戻り始めるなど世界も同じ方向に向かっている。このままだと異次元緩和という状態は今度も続きそう。言ってみれば、新型コロナの感染にいつ終息宣言が出るのかが見えないのと同じ状況になっている。

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