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仕事術・自分で考えさせないと部下は成長しない

私がサラリーマンをしていた若いころ、どう鍛えられたかという体験談を話します。

私は、強烈なパワハラ課長の下にいたことがあります。
ノイローゼになった課員が複数いたほどで、中には入院した課員もいたほどです。

この時代は辛かったけど、後で考えると一番鍛えられました。

さんざん叱られましたが、私はノイローゼにはなりませんでした。
メンタル的に強かったのか鈍感だったのか?
多分両方でしょう。

当時の仕事は財務部門で、設備資金の借入担当でしたが、
関係会社の財務指導というご大層な役目も負っていた。

誰でもそうでしょうが、流れてくる事務を処理していれば済むわけではありません。
大小さまざまなトラブルが起こるし、関係会社から相談されることもある。

発生したトラブルなどの課題の対応は、必ずしも自分だけの判断では進められない。
課長に相談する必要がある場合には、あまり話したくはないけど相談しました。

しかし、もし「どうしましょうか?」と相談したら「バカヤロー」と言われる。
必ず自分で考えて、最適と思われる案を出さなければならない。

で、一所懸命考えた挙句、「こうしたい」という案を出して相談します。
すると、この課長は即座に判断して「だめだ」という。

「どうしてですか?」と私が聞くと、
「何故なら、そのやり方にはこういう欠点がある」と私が思っていなかったような指摘をする。

いつも必ずこうだった。
いつもダメがでるし、課長の判断力には全然及ばない。
私は、この課長には永遠に及ばないのか?とさえ思った。

これを何十回も繰り返したのだが、ある時突然「よし、それで良い」と言われました。
「エッ、ホントか!」と驚いたけれど、その日以降は全部OKが出たんです。

こうして連続してOKがでたある日、私には階段が見えたような気がしました。
その階段の下の方にいる過去の自分と、それを登ってきた今の自分の姿が見えるような気がしたんです。

こんな経験は初めてだったし、それ以後もありません。

自分で一所懸命考えて、何十回もダメと言われ続けた経験が生きてきたのだろう、と思います。

自慢する気はありません。
部下に考えさせて、悩ませる経験を積ませることが大事だと言いたいのです。

部下の中には、どうしたら良いか分からなくて、
安易に「どうしましょうか」と相談する人がいませんか?

こういう人に答えを教えてはいけないのです。
教えると、彼は全然育たないと思う。
実力はいつまでも下っ端社員のままでしょう。

これでは困ります。
年功序列で、もし彼を中間管理職にしてしまったりすると、
彼の部下も育ちません。
なので、ここは「自分で考えろ」と突っぱねるのが正解なのです。

スポーツの世界では、自分をライバルとみなして頑張ることが出来ます。
これは数字で比較できるからでしょう。
例えば、野球なら打率とか打点とかで、過去の成績と比較できます。

しかし、サラリーマンの事務職だったとしても、
過去の自分を超える体験ができるんです。

部下の教育には、知識を教えたり諭したりすることよりも、
自分で考えさせるように仕向けることの方が大事なんです。


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