漁師ストリートを歩け。
12月11日。
今日も出荷後から、船に乗って沖へ出る。
海の風景をみながら。
カモメが海を眺めている。
カモメは阿曽浦に9月頃から出現する。
寒い場所を求めて移動する渡り鳥。
彼らは寒くないんだろうか。
そんなことを考える。
人間よがりの視点な僕。
ちなみにこれはオス。
カモメはオスのほうがきれいな色をしている。
人間的な目線でみるとだ。
海の上のトイレ。
マガモもまた、寒い場所が好きだ。
この海では冬にしかみることができない。
メスにアピールするために、オスは緑に美しく。
外敵から身を守るために、メスは地味な茶色。
お気に入りの風景。
木々の葉と海面がきれな平行線をつくりだしている。
海水面が上昇したときに、
同じ高さで木々が削られる。
自然の美だ。
沖に到着した。
今日の作業は鯛の「取り出し」。
出荷する鯛を選別しながら、別の筏に移していく。
タモという道具。
ここらへんでは方言で、タマという。
オタマのタマ。
きっとそこらへんと語源は一緒。
カラフル。
これで鯛を1匹ずつすくっていくのだ。
網を垂らして魚を追い込む。
初めて見た人は、金魚すくいに例える。
そのイメージ、良い線いってる。
何匹入れたか数えながら。
心の中でカウントし続ける。
忘れないコツは、語呂合わせ。
大学受験で日本史の年号を覚えるように。
沖の作業は筏のうえで行われる。
歩きやすいように所々に板がひいてある。
漁師ストリート。
研修生が来たときは、
まずこのうえを自在に歩けるようになってもらう。
下の海は水深約20m。
身体のバランス感覚。
それから、海を怖がらないこと。
いちど海に落ちればいい。
どうなるかわからないから、怖いのだ。
落ちても死なないと気づけたら、
そこからまた世界が広がる。
ただ、いまの時期に落ちるのは、
ちょっとごめんだけどね。
明日は休み。
少しだけゆっくり起きよう。
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