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十角館の殺人ミステリークロックを作ってみた

この絵を描こうと思ったきっかけは、キャンパスには四角形のほかに、円形や六角形のものがあると知ったことでした。

私なら、六角形のキャンパスにどんな絵を描くだろうか―—。

そう考えた時にふと浮かんだのが、以前に読んだ「十角館の殺人」というミステリー小説でした。

私は建造物に興味があり、一時期は設計の勉強をしたこともありました。なので、小説の中に登場する十角形の館は強く印象に残っています。十角形という個性的でミステリアスな建造物の魅力を六角形のキャンバスで表現してみたいと思いました。

出来上がった絵は納得のいくものではありましたが、同時に物足りなさのようなものを感じました。ひとつの絵画としては悪くないけれども、「十角館の殺人」という小説を表現したものとしては不十分な気がしたのです。

はたして、「十角館の殺人」を特徴づける重要な要素とは何か。しばらく思案し、やがてそれは「時間トリック」だと思い当たりました。「時間トリック」を象徴するもの——「時計」を仕込むことで、この絵は完成すると感じたのです。

いざ制作してみると、複数の異なる時間と空間をひとつのキャンパス上に表現するという、六角形だからこそ成立するアート作品に昇華できたのではないかと自負しております。

いささか手前味噌ではありますが、一目ご覧いただき、皆様にも気に入っていただければ幸いです。

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