バーチャルツアーの種類/バーチャルツアーを知る(3)
前回は「バーチャルツアーの活用シーン」でした。
こんにちは。
「バーチャルツアーを知る」も3回目となりました。
今回はバーチャルツアーの種類についてお話します。
バーチャルツアーによる課題解決
当社(株式会社イザン)がバーチャルツアーを手掛けるようになって5年以上。
当社にはこれまでに多くのお問い合わせやご相談がありました。まずは、これまでに導入をされた企業や施設ではどのような課題をお持ちだったのかご紹介します。こちらにあげたのはすべて導入後、成果につながったものばかりです。
バーチャルツアー活用のヒントを見つけていただけるのではないでしょうか。
●シティホテル/営業担当(大阪)国内客には客室も接客も評判はいいが、海外から見るとブランド名ではかなわない。海外のVIPに利用してもらうためにまず施設の良さを知ってほしい。
●ハウスメーカー/営業(岡山)大手ほど知名度はないが、家づくりにはこだわりがある。すでにお住まいのお宅は内覧できない。
●ミニホテル/オーナー(京都)一般のホテルにはないキッチンやお風呂、洗濯機を備えていることがOTAでは伝わりにくい。
●寺社/広報(滋賀)山の上にあるので年配の方に来てもらうのが難しい。行事の様子を知ってもらいたい。
●テーマパーク/マーケティング(東京)海外からのMICE誘致に必要。海外のライバルはすでに導入していて遅れをとっている。
●不動産/役員(京都)学生向け賃貸マンションを受験シーズン中に営業したい。
●老舗旅館/女将(京都)新型コロナが原因で修学旅行の下見をしてもらえなくなった。旅行代理店に営業してもらうために導入したい。
●IT企業/代表(大阪)新卒採用で会社見学をしてもらうためのオフィスツアーとして活用したい。同業他社と違うことをアピールしたい。
●コンサートホール/広報(滋賀)館内案内の手間を減らしたい。とにかく細かい問い合わせや確認が多くて、お客様に自分たちで調べてもらえればとても楽になるのでは。
●大学病院/教員(岡山)増改築の繰り返しが原因で患者さんが迷子になる。案内ツールとして病院に導入することはできるか。
●メーカー/営業(岡山)展示会に来場できない顧客がいる。来年以降に備えて記録としても残したい。
並べてみるといくつかの傾向が見えてきませんか。
バーチャルツアーで見てもらうことで「良さ」「違い」を伝える。
時間や距離の制約を解決できる案内ツールとしての使い方がもっとも多く、稼働率改善やお客様・スタッフの負担軽減につながるというのがバーチャルツアー導入におけるわかりやすい成果といえそうです。
では、どんなバーチャルツアーを使って課題解決をしていけばいいのかを見ていくとしましょう。
バーチャルツアーの種類
バーチャルツアーは国内外で非常に多くの企業が開発しており、数十種類あります。また、専門家に依頼せずに、自分たちで制作することも可能です。さまざまなバーチャルツアーから課題に合わせたものを選び、外注するのか、社内で制作するかを検討しなければいけません。これはなかなか大変なことです。
ここからはバーチャルツアーの種類と特徴をご紹介します。導入の参考にしていただければうれしいです。
3Dタイプのバーチャルツアー
完成したバーチャルツアーはスムーズに歩き回ることができ、真上からの視点や、俯瞰視点で空間の構造を把握できます。高機能であり、見栄えもします。
●制作方法
一般的には距離を測るセンサーを内蔵した特殊な機材で空間をスキャンします。同時に写真を撮影して、空間の情報と組み合わせることで3Dモデル化します。写真だけで3Dモデルを制作できるバーチャルツアーも登場しています。3Dモデルの制作はネット上でAIが処理をするため、特別な知識は不要です。
実写ではなく、CGで構築された3Dモデルを使ったバーチャルツアーもあります。インテリアシミュレーターの機能のひとつとして備わっている場合もありますね。
●おもな特徴
・3Dのデータを持っているため画面内でサイズを測れます。
・複数の階層を持つ複雑な空間でも構造を正確に把握できる。
・スムーズなウォークスルーが可能です。
バーチャルツアーによっては点群データを抽出できるため、3Dプリントや図面に起こす、メタバースに加工するといったことに活用範囲を広げることができます。
空間の中をしっかりと見て回れるので、文化財、展示会ブース、美術館・博物館にも向いています。
機材やソフトが特殊であることや、撮影にノウハウが必要なことから専門家に依頼して制作するか、社内で技術者を育成して導入することになるでしょう。
2Dタイプのバーチャルツアー
360度パノラマ画像を使ったバーチャルツアーです。
パノラマ画像同士のつながりを設定することで、あたかも移動しているように構成することでバーチャルツアーとして機能します。多くの方がお使いになっているGoogleストリートビューでおなじみだと思います。
●おもな特徴
・屋外の遊園地、公園といった広い範囲のバーチャルツアーを作りやすい
・離れた場所をひとつのバーチャルツアーにまとめることができる(本社と支店など)
・自社サーバーでの管理ができるものがある
・撮影に時間がかからない
・内製化が比較的容易
・国内外に多くのサービスが存在
360度カメラは数万円から店舗やインターネットで手軽に購入できます。機材の取り扱いも難しくなく、内製化しやすいバーチャルツアーです。360度カメラは動画撮影ができますので、360度動画の制作も可能になります。
ただ、市販されている360度カメラの性能では、画質に物足りなさを感じるかもしれません。専門家は高解像度の業務用カメラを所有していることがあります。より高い画質を求めるなら専門家への依頼も検討したいところです。
●2Dバーチャルツアーの選び方
2Dバーチャルツアーには多くのメーカーが存在するため、どれを選んでいいのか迷います。大きく国産のもの、海外製のものに分けて特徴や注意点をお伝えします。
◎国産バーチャルツアー
導入にあたり日本語でのサポートを受けられます。また制作・管理画面の表記も日本語ですから、非常にとっつきやすいのが特徴です。日本人が欲しいと思う機能が備わっているものもあります。
毎月の料金(サーバー料金や管理料、利用料にあたるもの)が1万円を超えるものが多く、内容によっては3万円といったものもあります。ユーザーが少ない場合、ネット上にノウハウが見つけられない可能性もあります。
◎海外製バーチャルツアー
サブスクリプションによる利用料金や、制作ソフトの買い切り価格が安いなどコスト面で国産のものより有利になることが多いです。
制作・管理画面からヘルプにいたるまで英語をはじめとした外国語表記がほとんどで、慣れるまでは大変です。
しかし、なかには日本語メニューのものもありますし、専門家に依頼するのであれば気にしなくてもよい部分です。
CGによるバーチャルツアー
CGを使ったバーチャルツアーも増えてきました。
例えば図面から作成するデジタル建築模型バーチャルツアーでは竣工前の施設や計画段階の空間をイメージしやすくするためにバーチャルツアーを導入することもできます。
制作依頼はメールでデータを送るだけの簡単手間無し。実際の建築模型や3Dパースを作るよりも、リーズナブルに3Dプレゼンテーションを実現できます。
インテリアデザインができるものもあります。
直感的な操作性で、誰でもわずか数分で平面図の制作・3D化が可能です。CAD経験は必要ありません。また、お手持ちの平面図をアップロードすれば、さらに簡単に図面を制作することができます。
今回は利用される方のニーズのこと、バーチャルツアーの種類についてお話しました。
次回はデジタルならではの機能についてお話します。
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