マガジンのカバー画像

伊予再見

6
運営しているクリエイター

記事一覧

伊予吉田伊達騒動ゆかりの寺と紅葉

伊予吉田伊達騒動ゆかりの寺と紅葉

愛媛県宇和島市の吉田町立間に大乗寺という妙心寺派の名刹がある。碧巌録を提唱していると門前に掲げる。藩政期の伊予吉田藩主の菩提寺である。墓所には仙台の伊達兵部の長男の妻女と男子たちが伊達騒動の後、はるか南国の小藩に縁あって配流、幽閉の後死までを過ごして葬られた墓もある。

伊達騒動は万治3年(1660年)、幕府が仙台伊達62万石の藩主綱宗を突然隠居させ、2歳の亀千代(後の綱村)に家督を継がせたことに

もっとみる
随想 #3 『象徴』秋季創刊號

随想 #3 『象徴』秋季創刊號

 一昨日から、梅雨の晴れ間が続いている。夏の花白い木槿が咲き、今朝はハマユウも咲いた。梅雨の晴れ間ということで、四年前の水害で泥水に浸かったとき松山などから、遠路片づけと泥の掻き出しに来てくれたサイクリストの友人たちが八幡浜から海沿いに走るという。誘いがあり、私も明浜から合流し宇和島まで70キロくらい一緒に走った。久しぶりに再開して、健康を祝い合い昼を食べ宇和島で別れた。

 昨日は、買い出しに

もっとみる
随想 #2

随想 #2

庭の譲葉の木の脇に生えたクチナシに白い花が咲いた。この二三日は梅雨の晴れ間で梅干を漬けたり、庭の草をかったりした。梅干しは庭の梅の木から取ったものを約1キロ、梅干しの漬け方を教わっている八百屋さんで分けてもらった小梅を2キロ、塩漬けにした。石の重しを置き四五日置くと水が上がってくる。紫蘇の葉を洗って干し、千切って。揉んだものを加えると少しずつ色が濃くなってくる。後一月もすると梅干しの色になるという

もっとみる
随想 #1

随想 #1

 3年前の豪雨災害で、築百年をこえた木造2階建ての一階部分が床上浸水、台所、押し入れ、納戸と書斎が浸かった。多くの友人たちの支援で暮らせるようになった。家具や家妻の衣類。、本箱、机、台所電気製品のすべてなど多くの書物とともに失ったが、体は無事で、亡父母の遺品など、ある意味で今流行りの断捨離と大掃除にもなった。家を修復してくださった西山さんのおかげで今は普通の暮らしがもどったが、残った書物は物置につ

もっとみる
「宇和島はいいぞ」

「宇和島はいいぞ」

 水害や風害、行政の形骸化など不愉快なことも多いが、宇和島はまだまだ大丈夫だ。毎朝、電動アシストの自転車で峠を越え、往復25キロの買い出しに出かける。そうすると、宇和島はいいなあと思う。パン屋さん、魚屋さん、お肉屋さん、八百屋さん。若い店員さんたちが元気に働き、ケーキがおいしいグーテ。

どのお店の人たちも、昔ながらの南予の気のいい人たちだ。魚も肉も野菜も流通が変わり、地物だけではないが、お店の人

もっとみる
罹災日録

罹災日録

 子供が小学生のころ帰郷した。既に父母はこの世になかった。大正初めに建った古びた生家の水まわりを新しくし、一階の北側の14畳の部屋を本箱と箪笥で仕切り、納戸をつくった。 子供たちは小学生から高校まで自分の部屋もない、この家で暮らした。今は都会で働いている。私は処々居を移して帰郷したが、それぞれ暮らした年を足して見ると、伊予吉田に今迄の人生でいちばん長く住んだことになった。

帰郷後を振り返ってみる

もっとみる