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小さな自転車の旅

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2021年1月の記事一覧

吉田 満と久通

吉田 満と久通

 何年か前に、『戦艦大和の最期』を書いた吉田満が大和生還後に赴任した高知県須崎市の久通を訪れたことがある。
作家の古山高麗雄が『戦艦大和の最期』の講談社文芸文庫版の巻末に吉田の作家案内を書いている。古山は、はじめに、自分自身はいやいや戦場に運ばれたまま生還した下級兵士であると断り、作者の吉田は東京帝国大学法科を繰り上げ卒業して、幹部候補生の試験に合格し、士官として自己の意志で死地としての戦場に赴き

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宿毛へ その2

宿毛へ その2

宿毛に通じる県道から左の山裾の脇道に入り、前方に見える譲葉山などの山並み、右手の小山の連なり、岩松川の流れなどを眺めながら走る。左の山裾には獅子文六の「てんゆわんや」や随筆「田舎の句会」に書かれた、蘇鉄が山道に並ぶ寺、高田八幡などがある。清満の小学校に近づくと桜並木のある川に沿った堤の上の道を走り、小学校を過ぎ、集落の中の道に下ってゆっくり走る。しばらくして、一度県道に出て川沿いに走ると、馬淵あた

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