7.ニュージーランド人が代表者なのに、農水省の調査結果の外国人議決権にNZが出てこないのは何故?
私、ずっと違和感があったんです。
「E者の社長はニュージーランド人だ。なのに農水省が出した『外国法人等による農地取得に関する調査の結果』に載っていたのは、中国(香港)だけだった。ニュージーランドの国名と社長の議決権の%は何故載っていないのか?」
この社長は、4.「ニュージーランドとおもったら実は中国だった」は本当か?で解説したように、間違いなくニュージーランド人です(記事にカタカナでヤンさんなんて書かれるから、誤解している人がいるかも。YángではなくJanです)。
そして、代表者になっているんだから、株を保有し議決権は持っていると考えて間違いありません。
だとしたら、農水省調査結果には
のような形で併記されていないとおかしいはずです。
でもそうではない。何故でしょうか?
可能性1 NZ人社長は農業関係者だから
実は、農水省の調査結果は、あくまで「農業関係者以外の者の議決権」を載せているだけなので、農業関係者に含まれるNZ人社長の議決権は調査の対象外であるという理由。
6.「農地や農道を外国人・外国法人に売るのは違法」なのか?を読まれた方はわかると思いますが、農地取得適格法人の要件に、農業関係者以外の者の議決権が半数未満であることが必要です。
ひとつ気になるのは、NZ人社長が要件上の「農業関係者」としてみなすには150日、日本にあるこの会社の「農業」に従事している必要があるのです。この「農業」が指す内容には、経理等の事務の他、加工や販売等も含みます。
コロナで日本とNZを簡単には行き来できない状況でしたし、そもそも親会社の業務があり多忙なハズなのに、日本で150日も農業に従事は現実的ではありません(リモートで事務作業はできるでしょうけど…)。
可能性2 実は社長に議決権はない
うーん、それはちょっと考えにくい。
可能性3 NZ人社長は中国(香港)にある出資法人の代表役員だから
4.「ニュージーランドとおもったら実は中国だった」は本当か?で解説したように、E社の親会社JACEのグループには、中国に子会社があります。
そして、
この画像の左の方がE社の社長にあたる人物ですが、日本プロジェクトの担当であることがわかります。
E社の議決権のうちの51%は、社長ではなく、実はE社設立に関わった地元の農家の方々(法人に農地の権利を提供した個人も「農業関係者」になります)や日本人従業員だったということ。
一方議決権の49%をもつ中国(香港)の法人はやはりJACEグループの中国の子会社。そしてその子会社の代表役員にあたるヤン氏が、法人の指名と日本人側の議決権者の同意の元で、日本のE社の代表取締役に就いている、というかたち。
これなら、社長がずっとNZで親会社の業務に携わっていても日本の子会社の議決権の一部を持っていて、かつ子会社のE社は農地所有適格法人資格が認められる訳です。
ワタシ的には、これが一番しっくりくる答えですが、会社の登記等で確認したわけではないのであくまで個人の妄想と捉えてください。