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国民民主党・玉木雄一郎代表が維新と連携表明、さらに改憲は「合意できるところから」と断言! しかし玉木代表は2019年参院選で「改憲発議そのものをさせないために全力つくす」との市民連合要望書にサインしていた!! 2022.1.24

(文・IWJ編集部 文責・岩上安身)

 国民民主党の玉木雄一郎代表が2021年11月7日、フジテレビ系の『日曜報道 THE PRIME』で、日本維新の会は「賛同するところも多い」として、両党の幹事長・国会対策委員長会談の実施を表明。維新副代表の吉村洋文大阪府知事も「国民民主党は価値観が非常に近い」と協力を約した。

 吉村副代表が改憲の国民投票を自民党に促すと述べると、玉木代表は、改憲は「合意できるところから」やるべきだと応じた。これは、いわゆる「お試し改憲」そのものだが、早稲田大学の水島朝穂教授は、岩上安身のインタビューで「改憲に『お試し』など成り立たない」と、厳しく批判している。

 そもそも玉木代表は、「改憲発議そのものをさせないために全力をつくす」と明記された、2019年の参院選に向けた「立憲野党4党1会派の政策に対する市民連合の要望書」にサインしていた。自ら署名し約束したその文言を反故にすることは、国民への裏切りに他ならない。

 詳しくは記事本文を御覧いただきたい!

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▲国民民主の玉木雄一郎代表(IWJ撮影)

国民民主の玉木雄一郎代表が、維新は「賛同するところ多い」! 維新副代表の吉村洋文大阪府知事も「価値観が非常に近い」と協力表明!

 国民民主党の玉木雄一郎代表は2021年11月7日、リモート出演したフジテレビ系の情報番組『日曜報道 THE PRIME』で、11月10日に招集される特別国会前に、日本維新の会との間で、幹事長・国会対策委員長会談を行い、改憲を含めて連携を強めていくことを表明した。

 国民民主党が野党国会対策委員長会議から離脱するというニュースを受け、番組キャスターの松山俊行氏(フジテレビ政治部長・解説委員)が、「維新と国民民主で一つ、保守中道的な別の野党のかたまりを作るのか?」と質問すると、玉木代表は「公約実現のためにはですね、あらゆる勢力と協力していきたい。維新の改革を進めていくというところは、賛同するところも多い」と答え、前述の維新との幹事長・国会対策委員長会談を行うことを明らかにした。

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 これに対して松山氏が、同じくリモート出演していた日本維新の会副代表の吉村洋文大阪府知事に「改憲に向け、維新と国民民主で憲法審査会の開催を働きかけていくのか?」と質問すると、吉村氏は「政党や会派がくっつくことは有権者の信頼を損ねる」と否定しながらも、「国民民主とは価値観が、非常に近いところもあるので、政策や法案実現で協力していきたい」と答えた。

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▲日本維新の会副代表の吉村洋文大阪府知事(IWJ撮影)

玉木代表の主張「改憲は合意できるところから」は「お試し改憲」そのもの! しかし「『憲法という縛り』を解く改憲に『お試し』など成り立たない」!

 松山氏が重ねて「憲法審査会を開くということでも立場は一致して、自民党に働きかけていくということか?」と聞くと、吉村氏は「我々維新の会は改憲勢力ですから」と答え、「自民党の憲法改正は、一部の保守層のガス抜きのための『やるやる詐欺』だ。国民投票のスケジュールを決めて、そこから逆算してやっていくべきだ。自民党の本気度を、ぜひ知りたい」と、維新のいつものパターン通り、体制批判をするポーズをとりながら、体制を補完強化する内容の主張を展開した。

 松山氏は玉木代表に「吉村さんと同調して一緒にやるのか?」と質問。これに対して玉木代表は「そもそも憲法審査会を毎週開かないのは議論の否定だ」と主張し、議員の4分の1の要求で臨時国会を開催しなければならないと定めた憲法53条に、2012年の自民党改憲草案に記された「20日以内」という文言を入れるような「合意できるところから」やるべきだと訴えた。

 しかし、この玉木代表の論理は、2015年に自民党憲法改正推進本部長(当時)の船田元氏が「国民が憲法改正に慣れることが必要だ」と述べて、「合意を得やすい」条文で発議を行い、2回目の発議で9条改正を行うと提案した、いわゆる「お試し改憲」とまったく同じ主張だ。

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 ▲元自民党憲法改正推進本部長の船田元衆議院議員(IWJ撮影)

 早稲田大学の水島朝穂教授は、2016年2月13日に行われた岩上安身によるインタビューに答え、「改憲とは、非常に重い『憲法という縛り』を解くもの。『お試し』という言葉など、そもそも成り立たない」と厳しく批判している。

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▲早稲田大学法学学術院教授 水島朝穂氏(IWJ撮影)

 吉村氏や玉木代表が言うように、もし本当に自民党が改憲について慎重な、あるいは一部を除いてそれほど「本気でない」のだとしたら、維新と国民民主は協力して、「寝た子を起こす」と宣言したも同じである。

 維新と国民民主は「与党補完勢力」などではなく、自民党のさらに先を行く改憲推進勢力だということになる。

玉木代表は「改憲発議そのものをさせないために全力をつくす」との要望書にサインしていた!

 国民民主党の玉木雄一郎代表は、2019年5月29日に、参院選に向けた「立憲野党4党1会派の政策に対する市民連合の要望書」に合意し、サインしている。

 「要望書」の最初の項目には、以下のように書かれている。
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 安倍政権が進めようとしている憲法「改定」とりわけ第9条「改定」に反対し、改憲発議そのものをさせないために全力をつくすこと。
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※これは日刊IWJガイド2021.11.9号~No.3344号に掲載された記事を加筆・修正したものです。

※この記事はIWJウェブサイトにも掲載(記事リンク(https://iwj.co.jp/wj/open/archives/501479)しています。
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