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ロシア軍「攻撃の第一段階目標達成」発表を「作戦失敗で戦線縮小」と報じる西側メディア! 「ロシア苦戦」との米国とウクライナ側の情報のみ流す日本メディアの偏向ぶり!! ウクライナ発表のロシア軍死者は、ロシア発表のロシア軍死者の約12倍!! どちらが真実なのか!? 2022.6.15

(文・IWJ編集部 文責・岩上安身 2022年6月14日加筆・アップ)

特集 ロシア、ウクライナ侵攻!!

 2022年3月25日、ロシア軍が「軍事攻撃の第一段階の目標を達成した」「これによりドンバス地方に全力を注げる」と発表。ところが西側メディアは、米国やウクライナの発表を根拠に「ロシア軍は作戦失敗で戦線縮小」と正反対の意味で報じた。ロシア軍死者数に関しても、ウクライナとロシアの発表で約12倍もの開きがあるなど、齟齬は大きいが、日本のメディアも米欧の情報に従っている。

 ところが、3月22日、ウクライナのゼレンスキー大統領がプーチン大統領に対して「クリミアやドンバス2共和国の承認を協議する用意がある」と譲歩的姿勢を見せたと報じられた。「ロシアが苦戦」しているなら、今まで「領土の一体化」のみ掲げ、譲歩となる発信は一切しなかったゼレンスキー氏が、なぜ話し合いに応じる姿勢を見せたのか。米欧による「ロシア苦戦」情報が嘘偽だったと考えるのが自然である。

 リベラル層に信頼の厚い東京新聞だが、ウクライナ情勢は大手他社同様、米国やウクライナへの偏向が目立つ。故オルブライト元米国務長官がユーゴ空爆を実現したことを「闘士」と呼んで絶賛したのはその典型である。

 しかし、ユーゴ空爆は国連安保理未承認で実施され、民間人多数を殺害し、非人道兵器も使用された。さらにオルブライト氏は、対イラク経済制裁は「50万人の子供が死んでも、やる価値がある」と断言。ジェノサイドにも「値打ち」があると開き直った。

 そして、オルブライト氏が閣僚だったクリントン政権こそ、崩壊直前のソ連との約束を破り、ウクライナ危機の原因とされる「NATOの東方拡大」を開始した当の政権である。東京新聞での民間人の虐殺の容疑について、他紙と同様に、ロシア軍による重大な人権侵害であり、戦争犯罪であると厳しく批判しながら、一方で、なぜそうしたオルブライト氏のような「50万人の子どもが死んでも、(空爆)をやる価値がある」と言い主張した人物を絶賛するのか? 米軍がずっと繰り返してきた無差別空爆こそ、「戦争犯罪」なのではないか!? 日本のマスメディアは、なぜ米軍と、それ以外では、ダブルスタンダードを適応して平然といられるのか!?

 詳しくは記事本文を御覧いただきたい。

▲「軍事攻撃の第一段階の目標を達成した」と発表した
セルゲイ・ルドスコイ大佐(Wikimedia、ロシア連邦国防省による提供)

ロシア発表「攻撃の第一段階の目標達成」「ドンバスに注力」を、西側メディアは米軍・ウクライナの発表根拠に「作戦失敗で戦線縮小」と一面的に報じる!

 2022年3月26日付けロシア国営メディア『RT』は、「セルゲイ・ルドスコイ大佐は金曜日(25日)の記者会見で、モスクワは軍事攻撃の第一段階の目標を達成したと述べ、これによりドンバス地方に全力を注ぐことが可能になると付け加えた」と報じた。

 『RT』の記事は、ロシア軍の主要作戦本部長であるルドスコイ大佐が「ウクライナ軍の戦闘力は大幅に低下し、ドンバスの解放という主目標の達成に力を注ぐことができるようになった」と述べ、ウクライナ軍が8年の歳月をかけて、ドンバス地域に築いた「十分に要塞化された防衛地帯」を、ロシア軍が「燃料や弾薬などの軍事物資や部隊の補給を断つため、主要な鉄道駅を孤立させ」、補給を断つことに成功したと発表していることを報じた。

 これに対して西側メディアは、米国防省やウクライナの発表を根拠に、ロシアがウクライナで苦戦し、作戦を変更したと、ウクライナ側にたった中立的とはとても言えないスタンスで報じている。

 3月26日付け東京新聞は、このロシア側の発表に対して「自軍の被害拡大を前に、ウクライナ全土の占拠が難しいと判断し、作戦目標を変更した可能性がある」などと断じている。リベラル層の支援の高い東京新聞ですらも、米軍とウクライナのプロパガンダに大きく影響を受けてしまっている。こんなにウクライナ寄りの色がついては、中立的に客観的に報じる新聞としての役割を果たし得ない。

ロシア軍死者数に、ロシアとウクライナで約12倍の開き!! なぜ東京新聞は、米国防総省発表を信用できると思い込んでいるのか?

 前述の2022年3月26日付けの『RT』の記事は、ウクライナでの戦闘によるロシア側の損失について、「ルドスコイ大佐は最新情報として、1351人のロシア軍人が死亡し、さらに3825人が負傷したと発表した。一方ウクライナは、ロシア軍約1万6000人を殺害し、数百台の戦車、装甲車、大砲を破壊したと主張している」と報じている。

 これに対して東京新聞の記事は、ロシア側発表の死者数もあげた上で「ロシアは首都キエフを巡る攻防戦で守勢に回っており、米欧の国防当局は実際のロシア兵の死者は1万人に達した可能性があるとみている」と報じた。

 東京新聞はその根拠として「米国防総省高官は『ロシアはインテリジェンス(情報収集)の失敗に直面していると言って差し支えない』と指摘。『ロシアはキエフなど人口密集地を占領できると自分たちを過大評価し、ウクライナ軍の抵抗を過小評価していた』と語った」と報じている。

 なぜ、東京新聞は、中立的であるとはいえない米国防総省の発表を信用できると、思い込んでいるのだろうか?

 米国が戦争するたび、常にデタラメなプロパガンダを行ってきた「歴史的事実」を知らないのだろうか?

 米国のプロパガンダは、昔話の話ではない。戦後70年あまりの間にも、嘘や、偽旗作戦や、工作や、情報操作などを数限りなくやってきた。その事実をまったく忘れたのか、あるいはそもそも勉強すらしてない記者が書いているのか、と言いたくなるほどのおぼこさ、おめでたさだ。

※この記事はIWJウェブサイトにも掲載(https://iwj.co.jp/wj/open/archives/507089)しています。  IWJは会員登録制で記事や動画コンテンツを公開しており、月額1100円(税込)または年会費1万1000円(税込)の一般会員になると過去2ヶ月間に公開されたコンテンツを御覧になれます。月額3300円(税込)または年会費3万3000円(税込)のサポート会員になると、すべてのコンテンツを御覧いただけます。 IWJウェブサイト(https://iwj.co.jp/)はこちら

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