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「『アメリカンデモクラシー』の終焉、ヒットラーの亡霊が米議事堂に」!! バイデンは「世界最大のリスク」!? 尖閣めぐる安全保障政策は!?~岩上安身によるインタビュー 第1027回 ゲスト 中国通エコノミスト・田代秀敏氏インタビュー第5弾!

(文・木原匡康)

 2021年最初の岩上安身によるインタビューは1月14日、2020年末に4連続インタビューを行い、好評を得た、中国通エコノミスト・田代秀敏氏インタビューのさらなる続編をお届けした。

 2021年1月4日に、政治学者イアン・ブレマー氏が率いるシンクタンク、ユーラシア・グループが「世界の10大リスク」を発表した。トップリスクに掲げたのは、「46*」、つまり第46代米大統領に就任する予定のジョー・バイデン氏を最大のリスクと名指ししたのである。

 「バイデンは、1976年のジミー・カーター以来、最も弱い国民の付託を受けたアメリカ大統領となるだろう。彼が2期目に立候補すると考えている人は、政界観測筋の中にはほとんどいない」

 その言葉を裏付けるかのように、1月6日、米国連邦議会議事堂乱入事件が起こった。バイデン次期大統領を正式に認定する選挙人選挙の開票のために、上院議員下院議員が全員集まっている議事堂に、暴徒が乱入し、警官を含む5名の死者を出すという凄惨な事件が起こった。その経過は日刊IWJガイドでもご紹介しているが、大統領選挙の結果を不服とするトランプ大統領の「ワシントン行進」の呼びかけによって、トランプ支持者が連邦議会に集まり、乱入したのである。

米大統領選を決する連邦議会にトランプ大統領の支持者らが乱入、警官に射殺されるなどして4名が死亡! 死亡した女性は元米空軍人! トランプ大統領が呼びかけた「ワシントン行進」から始まった民主主義崩壊の悲劇、バイデン政権にとっては不吉な船出に!?(日刊IWJガイド、2021年1月8日号)

 インタビュー冒頭で、岩上安身が「『政権移行目前の米国で議会乱入事件!トランプ大統領の「最後の狂気」はどこに決着!?』田代さんにとってショッキングな出来事は?」と問うと、田代氏は、「ある意味では幸運ですよ。フランス革命か第一次アメリカ革命を目撃しているのに匹敵するかもしれない」、「ソ連崩壊より劇的」と回答した。

 岩上が「トランプ大統領は大規模な集会の演説で『連邦議会議事堂に向かって行進する』よう呼びかけた。これは国家反逆罪に相当するのではないか、内乱内戦の扇動の可能性があるんじゃないかといわれている」と問うと、田代氏は「どう考えたってそうですよね」と同意し、ナチスが政権を掌握する過程で引き起こした議事堂炎上事件になぞらえて「これは『アメリカンデモクラシー』の終焉、ヒットラーの亡霊が米国連邦議会議事堂に現れた」と述べる。

 田代氏はその後のトランプ大統領のツイッターをはじめとする様々なSNSアカウントの閉鎖などの事態も含めて、「アメリカは他の国を指導すると世界中に手を突っ込んできましたね。もう1つのアメリカがあったら『俺が法の支配とデモクラシーを教えてやろう』となるでしょう。(この議事堂乱入事件によって)長いアメリカの世紀が終わったわけですね」「トランプ大統領は、アメリカの隠れた汚点を全部露わにし、アメリカの幻想を全て終わらせたという意味では、歴史的な大統領です。ジェファーソンら、アメリカの歴代大統領が積み上げてきた価値を全部ぶっ壊した」と評した。

 不可解極まりないのは、米国では連邦議会議事堂乱入事件が起きた1月6日の翌日、7日にNYダウが3万1158ドルと史上最高値を記録したことだ。しかも、その翌日の8日には新型コロナウイルスの1日あたり新規感染者数が30万人を超える。田代氏は「ダウ平均株価の史上最高値更新は、ナチの復活の祝砲になってしまいました」、「アメリカ資本主義はそれを歓迎した。ウォールストリートはあの事態がホームランだと思った。AIが人間たちがそう考えていると読み取ったんです」。

 岩上が「実体経済と関係ないところでマネーゲームしてるのに、崩れたら実体経済に影響が出る。一般人には不愉快な気持ち」というと、田代氏は「日本の方が不条理の度がひどい。株価が高いうえに束で買わなければいけないから金持ちしか買えない。利益を得られるのは金持ちで、暴落したら被害は社会全体に及ぶ」、「しかも日本では年金資金まで株式市場に投じられています。これは世界的にも珍しい。もっとすごいのは中央銀行が株式投資してる。こんなことは人類史上初めて。今、日本の大企業の筆頭株主が日本銀行というのがいっぱいある」。岩上は思わず「これは資本主義と言えるのだろうか?」とため息をつかざるを得ない。

 コロナ禍と分断に苦しむ米国社会の傷み方について、岩上が「2020年の米国では、前年比で20.9%~36.7%も殺人事件が急増するなど、暴力的な事件が増えています」と投げかけると、田代氏は「CSISがレポートを出しています。アメリカの国内テロの57%は極右のテロだと。FBIの長官はネオナチと白人至上主義を国内の脅威の優先事項にあげています。イスラムでもない、中国のファーウェイでもない、白人至上主義がアメリカの最大の脅威だということ。その結果がこの乱入事件」だと返した。

 いよいよ会員限定公開の部分に入ると、連邦議会襲撃事件のあとに展開されているトランプ大統領の弾劾、そしてトランプ支持者らの20日就任式までの不穏な動き、冒頭に掲げた「世界の10大リスク」、英国が陥っている経済不況が300年の間で最悪の状態にあり、米国社会で5000万人の人々が今日の食料に窮しているという実態について論議を進めた。

 さらに、バイデン政権が目指す「対中包囲網」の有効性、RCEP合意やEUとの投資協定合意を実現した中国の影響力、日米安保条約の解読と尖閣諸島問題、新型コロナウイルスを唯一抑え込んでいると言ってもいい中国のコロナ政策、菅総理が発出した緊急事態宣言と東京五輪の問題点などについて掘り下げた。

 また岩上安身は、インタビュー前日の1月13日、菅義偉総理の記者会見に参加して、質問のため挙手したが当てられず、質問を官邸がメールで受け付けるとしたため、岩上安身は質問内容をツイートで公表するとともに、官邸に送信した顛末を詳細に報告した(下、動画抜出)。

 これらの貴重な論議をぜひ御覧いただきたい。

 また、2020年11月と12月に行われた岩上安身の中国通エコノミスト・田代秀敏氏インタビューもこの機会にぜひあわせて御覧いただきたい。

■ハイライト(動画の全編約4時間弱は有料となります)

※この記事はIWJウェブサイトにも掲載しています。
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