フォントのトレンド!手書き風書体
みなさんこんにちは。
いきなりですが、この字を見てどんな感想をもちますか?
なんと!!
これは、現在イワタで開発中の新書体なんです。
印刷メディアビジネスの総合イベント page展では既に一部公開していたのですが、SNSでは初公開です!
万年筆で書いたような綺麗な文字ですよね。
このフォント、実は今年で89歳のデザイナー 橋本和夫の直筆文字をベースに作られているんです。
この後、もう少し多い文字と一緒にご紹介したいと思いますので、是非読み進めてくださいね🎵
さて、みなさんはフォントにも流行いわゆるトレンドがあるのはご存じですか?
写植時代からDTPの登場、デジタルフォントの広がりなど、文字にまつわる技術革新が起こるたびに、選ばれるフォントも変わっていきました。
2006年には、高齢のかたや目の障害を持つ人でも読みやすいように作られたUDフォントも登場。
近年では、SNSの見出しや、動画のタイトル、スマホ自体のフォントも任意に設定できるようになるなど、自らフォントを選べる時代になりました。
これまでフォントを選ぶのはデザインのプロというイメージでしたが、最近ではかなり身近にフォントを感じる機会が増えていると思います。
そんな現在のフォントトレンド、その名も手書き文字です。
2022年12月に公開された、Mrs. GREEN APPLEの「Soranji」という曲では、ヴォーカルの大森さんがすべての歌詞を手書きしたリリックビデオが公開されました。
手書きの文字ってやっぱりいいですよね。
書いた人の想いが乗るのはもちろん、読み手にも、書き手の感情や人となりまでも汲み取ることができるような気がします。
実際、2023年の展示会にて今欲しいフォントを調査した際にも、手書き風の書体は大人気でした。
そこで今回は、手書き系のフォントを3つほどご紹介します。
1.【開発中】 万年筆書体
みなさん!!
イワタ待望の新書体です!
(いやいや、毎年たくさんのフォントが世に出ているじゃないか)
とお思いの方・・・
そうです。
たしかに、イワタと同じフォントメーカーである、モリサワさんやフォントワークスさんからは、毎年何十書体も発売されていますし、個人的にも、毎年どんな書体がでるのか楽しみにしています。
さてさて、イワタはどのくらいのペースで新規書体を発表するかというと・・・
2~3年に1書体なんです。
以前に、ねこに合うフォントでご紹介した「福まるご」は着想から完成まで、なんと6年かかっています。
イワタでは、デザイン部による企画、山形事業部による制作、技術部によるフォント化に至るまで、すべての工程を社内で行っているので、単純に人数が少ないです。
営業である私も、新規書体開発プロジェクトのメンバーとして参画しているので、イワタの新書体は部署を問わず意見を交換し、全社で創り上げていくイメージの方が近く、時間を掛けて開発しているため、1書体1書体に対する思い入れは、かなり強いです。
それでは、もう少しだけ、開発中新書体ご覧いただきましょう。
実際には、まだ名称も決まっていませんが、万年筆で書いたようななめらかで上品な書体をコンセプトに、開発しています。
抑揚のある流れるような線に、バランスのとれた上品な文字。
見とれてしまうほど美しいです・・・。
と、今お出しできる情報はここまで。
発売の際には、noteでも盛大にお知らせしますのでお楽しみに!
2.ポップ体
スーパーマーケットなどでよく見かける「大特価」とか「広告の品」など、商品名や価格が書かれたカードなどに使用される書体です。
見たことのある人が多い書体ではないでしょうか。
このフォントは、創英角ポップ体。
Windowsに標準搭載されているフォントですね。
一度見たら忘れられない、強烈なインパクトをもった書体です。
■ポップ体とは?
そもそも、ポップって何の意味でしょう。
ポップ体は、フェルトペンで書かれた手書きのPOP広告をイメージして作られた書体です。
POPには上記の意味以外にも、
・popular(人気のある)の略 : J-POP、K-POPなど
・風船がはじける音 : pop!!(アメリカンな音ですね)
など、複数の意味を含んでいるようです。
ポップ体は、親しみやすくて、針で刺したら弾けそうなフォルムなので、いずれの意味にも当てはまりそうな感じがしますね。
私が小学生だった1990年代中後半あたりに学校で配られていた、学級だよりとか献立表のタイトルには必ずといって良いほどポップ体が使われているイメージがあります。
今はどうなんでしょうか・・・
■ポップ体の使いどころ
ポップ体は手軽に特別感を出せる一方で、文字のインパクトが強すぎるとか、ポップだけれども少し安っぽく見えてしまうなど、デザイナーなどからは敬遠されてしまっているのも現状です・・・
でも!
今、ポップ体には追い風が吹いています!!
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▼ 1980~1990年代に生まれた世代向け
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1980~1990年代に生まれた世代が30~40代になったいま、ポップ体はとっても懐かしさのあるフォントです。
小学校で流行った手紙を、丸ポップ体で作ってみました。
流行語だらけの手紙・・・
エモーーーーーーーーーーーーい!!!
とにかく、シール帳とか、たまごっちとかファービーとか、エモい言葉と相性抜群です。
まる文字の手書き感がたまらないです。
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▼ Z世代向け
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ポップ体は、流行のY2Kにもぴったり!
色合いも相まってめちゃくちゃかわいいですよね?
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▼ 推し活、サムネイル向け
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とにかく目立つポップ体は、推し活やYouTubeなどのサムネイルにもぴったり!
3.勘亭流
この書体も街で何気なく見かけることが多い書体です。
見たことありますよね?
赤ちょうちんや、お祭りの屋台にもよく使われている、こちらもインパクト大の書体です。
和の雰囲気によく合うこの書体ですが、いつ生まれたのか、
また、うねうねとしている筆脈の理由をご紹介します。
■勘亭流とは?
江戸時代に発生したデザイン的な書体「江戸文字」の一種です。
江戸文字にはたくさん種類があり、芝居文字の勘亭流をはじめ、寄席文字やかご文字、ひげ文字など様々な種類があります。
その中でも勘亭流は有名ですよね。
一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
勘亭流は、安永8年(1779年)江戸時代の書家である岡崎屋勘六が狂言用の看板に「江戸春御贔屓曽我」と書いたことがはじまりです。
なんて書いてあるか分からないですよね。
しっかりと見てみると上から「江戸春御贔屓曽我」という漢字がぎっちぎちに書かれているんです。
また、読めないことを前提に書かれたのか、右側には「えどのはるごひいきそが」と、ふりがなが振られていますね。
これをそのまま読めるようになるまで通うことが通とされるような文化もあったといいます。
この書風が、江戸中で大評判となり、岡崎屋勘六の雅号(ペンネームのようなもの)が勘亭であったために、勘亭流と呼ばれるようになりました。
その他にも、内側に入る筆脈が千客万来(客を招き入れる)を想起させるとか、丸みがあるので円満に興行を終えるなどの一種のゲン担ぎ要素もあり、縁起がいい書体として人気が出たという説もあるようです。
■勘亭流の使いどころ
江戸っ子の方言を勘亭流で表すとこんな感じ。
当時の言葉には、やはり同時期に流行った書体がぴったりですね。
見出しや年賀状にもマッチします。
力強い筆の運びはやはり目立ちますね!
インパクトと雰囲気を簡単に出すことのできる書体です。
4.リニューアルしたイワタのポップ体と勘亭流
今回、なぜポップ体と勘亭流にフォーカスしたかというと・・・
本日4月15日から、ポップ体/勘亭流の4書体がリニューアルして発売開始となったんです!
〈 仕様 〉
もともとは4書体セットでしか販売しておらず、文字数も書体によって差がありました。
そこで、書体の字形を改めて確認。
文字数を統一し、フォントフォーマットもOpenTypeにすることでご利用いただける幅を広げました。
さらに、セットではなく書体ごとにお求めいただけるように変更。
(TrueTypeの4書体セットでの販売も引き続きございます)
使ってみてくださいね🎵
冒頭でご紹介した万年筆風書体も、せっせと制作中です!
続報をお楽しみに!
最後に余談を。
みなさんには今ハマっていること、いわゆるマイブームはありますか?
私の場合は、読書です。
小説、評論、エッセイなど、ジャンルは何でも良いのですが、デジタルではなく紙媒体の本を読むようにしています。
というのも、スマホから距離を置かないと!と思ったのがきっかけなんです。
普段、朝起きてすぐのベッド、通勤電車、調理中、食事、風呂、トイレ、寝る直前のベッドまで、すべての場面でスマホを触っているかYouTubeをみています・・・
歯を磨きながら見るYouTubeを探すのに5分ぐらい悩んでいたときにふと、これはスマホ依存症だ!だと思いました😂
読書は、デジタルデトックスの一環なのです。
また、小説を読んでいると嬉しいことがもう1つ。
本文に「イワタ明朝体オールド」が使われていることがとても多いので印刷されたイワタ書体に触れることができるのも嬉しいポイントです。
イワタ明朝体オールドのなかでも特徴的なひらがなをいくつか紹介するので、みなさんが読んでいる小説などの本文フォントと見比べてみてください。
これが読みやすいんですよねぇ・・・
デジタルデトックス続けていきたいと思います。
それでは、今回もご覧いただきありがとうございました。
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