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イワシとわたしの物語

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下園薩男商店が運営するイワシビルの商品。 そんな商品たちとこんなことあったかもしれないお話を集めたオリジナル短編小説です。
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#イワシとわたし

たい焼きを食べる、旅に出る【イワシとわたし 物語vol.17】

何と理由はないけれど、どうも虫の居所が悪い。 せっかくの日曜日。せっかくの休日。 せっかく…

虜になって食べて知って【イワシとわたしの物語 vol.16】

買ってやったぞと言わんばかりに口の端を吊り上げる。 袋の中を覗き込むとお目当ての〈はらぺ…

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あの子を想う平日昼間のひとり時間【イワシとわたし 物語vol.14】

この日は天気がいい日だった。 加えて日差しがやわらかいから、散歩に出掛けることにした。 最…

落ち着かない気持ちを抱えて海に行く【イワシとわたし 物語vol.13】

3月というのはどうも気持ちが落ち着かない。 漠然とした焦燥感と不安が頭を撫でるように纏わ…

早朝の港で名脇役に憧れる【イワシとわたし 物語vol.12】

この時期の朝の港は寒い。その寒い港で彼は独りぽつんと立ち、辺りを見回していた。 港に人気…

旅好きの彼女がこの地に留まる理由【イワシとわたし 物語vol.11】

外に出るのも億劫になる季節になった。 もし叶うのならば、温かい家の炬燵の中で温まりながら…

幸せを届ける甘じょっぱい少女の想い【イワシとわたし 物語vol.10】

彼女は誰もいない屋上にいた。 同じ外であっても、横を通っているはずの車の音は気にならない。 誰にも知られず、この空間にぽつねんといることが不思議なものであるように彼女には感じられた。 火照った頬に冷たい風が掠め、熱を攫っていく。 雨粒がパラパラと傘を鳴らす。 彼女が一人屋上にいるのには、れっきとした理由がある。 火照った体を冷まして、必死の作戦を立てるためだ。 彼女は両手で瓶を包み込んだ。 幸運なことに、彼女は彼の好物を聞くことに成功した。 彼は甘いものが好きだという

彼女が始める小さくて大きな旅【イワシとわたし 物語vol.9】

地元に戻った彼女は、今日も阿久根の街を歩く。 阿久根駅を出れば港が見える。 その間をいか…

不安も全部取っ払って!いいも悪いも頬張る少女【イワシとわたし 物語vol.8】

最近、何をやってもうまくいかない。 うっかり間違ってしまったもの、自分の納得のいく形にで…

ハンカチに引き寄せられた男【イワシとわたし 物語vol.7】

何かの拍子に落ちるハンカチ。 気づかずに歩いていると、背後から「落としましたよ!」の声。 …

彼女が伝えたかった5文字【イワシとわたし 物語vol.6】

暑い夏であることに変わりはない。 けれど、この日だけは何やらいろいろと考えてしまう。 あ…

青年が気づき始めた”普通”の裏側【イワシとわたし 物語vol.5】

拍子抜けしてしまいそうなこの現実に彼は一種の焦燥感を覚える。 大人への憧れを感じていたあ…