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コントな文学『すべてのホームシッカーに花束を』

コントな文学『すべてのホームシッカーに花束を』

上京して足立区の北千住で初めての一人暮らし。

俺はホームシックになった。

土曜日に引っ越してきて今日が水曜日で一人暮らし5日目。

土曜の夜は初めての一人暮らしに浮かれて楽しく過ごしたが、人生で初めて日曜日の夜に1人で晩ご飯を食べていたら涙が溢れてきた。

実家の居心地の良さ。
母ちゃんの温かくて美味しいご飯。
そして父ちゃんや妹やペットも含めて家族から与えられていた安心感や愛情に初めて気付いた。

しかし、ホームシックなんて誰にも言えない。

だって・・・

俺、33歳だもん。

33の大人が自らの意思で一人暮らし始めてホームシックで毎晩泣いてるってキモ過ぎだろ。

我ながら情けないし、恥ずかしいよ。

ホームシックって普通は親元から遠く離れて新生活を始める学生や新社会人がなるものじゃん。

33歳の社会人10年目がホームシックって世間は許してくれるのかなぁ?

しかも・・・

実家は松戸だ。

常磐快速線で北千住から千葉の松戸まで9分で行けちゃう。

実家が近過ぎる33歳がホームシックとか、千葉県民のクセに「上京して一人暮らししてます」なんて言える資格が俺に有るのか無いのか自問自答を繰り返している。

・ホームシック
・ホームシックだと誰にも言えない苦しみ
・言っても共感してもらえそうにない孤独感

この三重苦を背負っている俺はホームシックだけの若僧より3倍辛いのだ。

3倍辛いんだぞって事も言えなくて、また辛い。

年齢や境遇に関係無く全てのホームシッカーを平等に受け入れてくれる世の中になってほしい。

だって寂しいのはみんな同じだろ?

だが、愚痴ってても仕方がない。

優先すべきは目の前の問題への対応だ。

「もしもし母ちゃん?
実家に忘れ物したから土曜の夜に取りに行くわ。
ついでに晩メシもそっちで食べるね。
帰り遅くなりそうだから泊まってこうかなぁ…
面倒臭いから日曜日も朝、昼、晩メシ食べてから帰るわ〜」

これで今週は乗り越えられる!

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