ホワイト企業の目標設定を考えてみた
オフホワイト企業のVPoE風のIwaoです。
今ジョインしてやってるSaaSの会社で、従業員のパフォーマンスが出ていないのではないかとステークホルダーから言われたようで、開発チームのパフォーマンスを改善してほしいと依頼を受けました。
パフォーマンスを改善するための初手は1択、目標管理と評価制度のワークが必要になります。評価制度は多分書けなさそうなので目標管理をひとりワークしてみます。
昔だとハードワーク=やる気あるねみたいな高度経済成長期からの大量雇用で植えつけられた価値観なので、ホワイト企業としてはコピペではなくしっかりらしい価値観を定義することがマストですね。
人からデザインする
登場人物ですが組織とメンバーがいて、メンバー側からすれば価値のある組織であり、組織側からすれば価値のあるメンバーであると思ってもらえる必要があります。目標設定と評価制度はそのコミュニケーションハブとなり、信頼関係でマッチングしていないとやる意味がありません。その結果、組織もメンバーも成長することが目標管理と評価制度の目的だと定義できました。
一方で日本企業特有の組織に合わなければ辞められるというのはメンバーのアドバンテージで、組織側からすればルールで縛れるアドバンテージがあるのでそこは頭の片隅においておきましょう。
価値の高い開発チームとは?
現状の課題からアイデアを集めてプライオリティをつけて並び替えていくような課題発見ワークが必要そうですが、ここでは前任のマネージャーからのストーリーを大事にして自分が感じる状態に落とし込んでみます。
・技術的負債を返済しながら少しづつ新しい技術へシフトする
・個人で意思決定をしていく主体性を重んじた環境
・アジャイルなどの開発プロセス導入で変化への対応をする
ほぼほぼ達成できてそうですが細かな課題が発生しています。それも踏まえて新しい価値を定義してみます。
・技術的負債の返済はしんどいので心理的安全性を高める
・主体性から生まれるチャレンジ精神から賞賛を見える化する環境
・個の存在目的を尊重したうえで開発プロセスへコミットしていく
組織はこのように価値を提示して、メンバーはその価値に共感できるか?の構造でなければなりません。もしダメなら次のQで見直してを繰り返すことになります。
A: 心理的安全性を高める
組織のカルチャーが形成する領域ですね。メンバーはどういうスタンスで働き方をしていきたいかを決めて、組織は積極性や相互理解、対人関係、意思決定、エゴの排除などをどのように推進するか責任を持ちます。
一緒に働きたい人やその逆を聞いて、組織は配属や配置・採用を考える責任があります。アンマッチな人材を排除できないのは経営者のスキル不足でしょう。
自分らしく働くことは人間心理でいう安全欲求を満たすことだろうなと思います。Googleでも今は心理的安全性が一番パフォーマンスを上げることに効果的だと考えているのは有名ですね。個人レベルで働き方を改革していきましょう。
B: チャレンジを賞賛する
未来のチャレンジはどういう価値を出せるかを定義します。メンバーはこれからTRYしたいことを決めるだけかなと思います。それに対して組織はどのように賞賛するかを考えてチャレンジを承認する責任があります。
360度評価やピアボーナスなんかが流行っていますよね。チャレンジに対して苦言を言う人は、個人の成長つまり組織の成長のチャンスの芽を潰していますのでそれを拾うことも大切です。なので小さい会社であればあるほど組織の成長にはマストな要件だと思っています。
人間心理でいうなら承認欲求の部分にアプローチしています。仮に成果物がダメだったとしてもチャレンジ自体を承認し、熱意だけでなく活力も低下しないようにプッシュしましょう。
C: 個人的な存在目的を尊重する
過去のナレッジでどういう価値を出せるかを定義します。メンバーはやりたいことではなくやれることを落とし込みます。組織は個人の目的が尊重されるようにしっかりとフィードバックをする責任があります。
過去の経験が少ない若手ならばキャリアも含めて目的を定義していく育成・コーチングが必要になります。マネージャーの重要なミッションなので上司はしっかり向き合ってください。そして組織からすれば、長く働いて欲しいと思うのでストックオプション制度やメンター制度なんかも有効です。ストックオプションはシリコンバレーでは根強く残ってて今だに主流です。
これは人間心理でいう社会的所属欲求が近しいです。盛り上げ役でもいいし、尽くすタイプでもいいですし何かしら特徴はあるわけですから、意味づけ=個性はリスペクトしていきましょう。
OKR
ここまで言語化できれば年は越せそうです。あとは個別にしっかり言語化してフィードバックを的確にすることです。フィードバックが難しそうならMBOではなくOKRを導入してみて定量化すると多少スムーズになるかもですね。
数々の研究により、目標を定めて取り組むと、従業員のパフォーマンスを改善できることが明らかとなりました。さらに、目標の難易度を上げて明確なゴールを設定したほうが、達成に向けて従業員のエンゲージメントが一層向上する、という研究結果もあります。
具体的にこのワーク自体をOKRに当ててみます。
O: メンバーの成長
KR: 開発メンバー数のエンゲージメントサーベイが10%上がっている
KR: 開発メンバーの平均年収が10%上がっている
KR: 開発メンバーのOKR達成率が平均70%になる
O: 組織の成長
KR: 開発組織のエンゲージメントサーベイが10%上がっている
KR: 開発組織から新しいテクノロジーが3つ生み出されている
KR: 開発組織が主体的に動くワークフローでの運用率が70%超え
雑感
ここまでワークしてきましたがいかがでしょうか。提案が年明けだからどうなるかわかりませんので不安なまま年越しを迎えることになりますw
日本のスタートアップは非エンジニアが創業している場合が多いので、なかなか開発チームの目標設定は難しいですよね。
そもそも属人化が顕著な組織やトップダウンの組織だとOKRでワークするのかって疑問がわいてきますが、もしイメージがわかなければ特定のチームだけで当ててみるとか、社会人としてのあり方みたいな初歩的な目標にすると良いかと思います。
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