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てふ
2022年3月2日 23:53
翻る裾を、僅かに弛む袖を、私の辿々しい指が掴もうとしてはするりと離してしまう。ねえ、貴方に触れるのが怖いのです。このまま振り向かないで、ただ前だけを見ていて。振り払っても良いから、期待だけはさせないで。この指が私の精一杯の気持ち。優しい声。暖かい眼差し。思い出の中に残る貴方の一瞬一瞬の姿。朧げになっていく記憶に何度溜め息を吐いたことでしょう。見上げる程の背丈。仄かに香る煙草の匂い。貴