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都会の大学生が田舎に「住む」ことを始めている。

こんにちは、和歌山に留学していた大学生イワナギです。

11月中旬から12月上旬にかけて、今まであったことがなかった人に出会う機会に多く恵まれました。その出会いを経るうちに僕が確信したことがあります。それは、

「大学生が地域に住み始めている」

ということ。大学生がキャンパスから抜け出し、田舎に飛び込んでそこに住み始めている人が1人に限らず、複数名いらっしゃります。オンライン授業を現地で受けながら地域に長期間滞在している姿は僕が1年前からやっていた、田舎に「留学」することそのものであり、自分と似たようなことを試みる人が増えたことに安心と嬉しさが込み上げています。

今日は、これからホットになるであろう「大学生の田舎留学」について、なぜ「留学」するのか、「留学」するとどんなことが待ち受けているのか。僕の持論を述べたいと思います。

僕自身の「和歌山留学」について知りたい方はこちらをご参照ください。

都会の大学生は「田舎」に憧れる

まず一つ言えるのが多くの大学生は「田舎」への憧れを抱いていることです。

大学生全員が憧れを抱いているわけではありません。田舎育ちで東京にやってきている学生も一定数いるのも確かです。

しかし、いわゆる農業が好きで、田舎で働きたい、地方創生をやりたい、という人たちだけが田舎に憧れているわけではありません。僕ら大学生の世代の大多数が「田舎っていいな」という思いを抱いていると言えるでしょう。

都会の大学生たちの生まれ故郷は人それぞれです。都会で生まれ育ったもの、筆者のように幼少期に東京に引っ越してきたもの、地方の中心都市で育ったもの、そして田舎の小さな集落から都会に飛び込んできたものまで、色んなバックグラウンドを持っています。それは、東京という都市自体が様々な人たちがひしめき合って暮らしていることを象徴するようです。

そうは言っても、多くの人が思い浮かべる「田舎」で育った学生というのは本当にごく一部。祖父母の家すら都会の住宅街にある人もかなりの数います。

そんな多くの大学生にとって、「田舎」というものは、都会にない暖かみを持つ場所、伝統を継承し、スローライフを過ごす場所という憧れをなんとなく抱いています。筆者も含め、僕らには「日本の田舎」は自分の日常の外のものなのです。

僕の周りでも、そういった思いからか「田舎暮らし憧れるわー」や、「日本もっと知りたいなー」という声をよく聞きます。

大学生は何かを「達成」したい

これは都会に限らず、多くの大学生が大学にいる間にサークル活動を楽しみたい、彼女を作りたい、旅行したい、留学をしたい、インターンをやってみたい。という思いで大学生は様々なチャレンジをします。

多くの社会人の方が、きっと大学生の間のフットワークの軽さに首を頷き、多くの大学生は「社会人になったら仕事で身動き取れなくなるからそれまでにやれることやっとこ」と思っているでしょう。社会人になるとやりたいことができなくなってしまう、突拍子もないこともしづらくなるという焦りが、大学生のフットワークを軽くさせるのです。

就活でも、面接官に「大学生活で何を頑張ったのか」「何かの課題に対して自分なりに取り組んだことは何ですか」などの自分が何を成し遂げたのかに注目しそれを分析したものを聞かれます。そして就活生はそれに対応するために自分が「成し遂げたこと」を探し、それを煌びやかに飾って面接官にハキハキと話すわけです(下に就活サイトOnecareerの記事を紹介します。)

こうして大学生はあらゆる面で「何かを成し遂げること」を求めるのです。

「主体性」を求める大学生

こうして何かを成し遂げる経験が重視され、都会の大学生は「主体性」を合言葉に成し遂げる何かを作り出そうとします。

しかし、都会という場所は、主体性という意味では心許ない場所かもしれません。

毎年何万人もの大学生が留学し、旅行しています。家を出て最寄り駅まで歩くまで1人も人がいないことはなく、周りの人たちと同じように満員電車に乗り込み、大学の授業を受けて、就職活動では慣れないネクタイを締めて周りの就活生のレベルの高さに圧倒される。東京のような大きな都市を歩いていると「自分」を見失いそうになります。

周りに合わせて求められている「何かを成し遂げる」に沿うことが主体性なのでしょうか?

僕が過ごした和歌山県美浜町、いや、和歌山県下で「現役東大生」は多分僕だけでした。集落内でほぼ唯一の20代。それを孤独と思われる方もいるかもしれませんが、大きな「村という中の自分」を常に感じながら生活していました。地元の近所付き合い、和歌山県内でのコミュニティに入れてもらいながら「ここで僕は何者なのか」ということを1年1ヶ月自問自答し続けました。

「自分を見失いそうになる」のが都会暮らしなら、「自分と向き合わずにはいられなくなる」のが田舎暮らしと言えるかもしれません。

見失いそうになる中で周りにしがみついて自分を見出す力ももちろん大切です。一方で、そんな周りに対してどう向き合うかを確かめるために「自分と向き合う」ということは都会の大学生にとって魅力的なのかもしれません。

こうして彼ら彼女らは「国内留学」する。

そんな、田舎に行ってみたいという思いを大きく後押ししたのがコロナ禍でした。コロナでオンライン授業になり、東京にいる必要性がなくなりました。小学校や、職場がオフラインも復活しつつあった6月ぐらいになっても、なんなら今この12月になっても全面オンラインの大学もかなりの数あります。

本来なら留学にいっていたはずだったのにキャンセルになってしまった学生も多く見かけます。

オンラインならどこででも大学生ができる、都会にいる必要がなくなったことで、今まで当たり前だった「都会」のことを考えるようになりました。

僕が居候していたゲストハウスにも友達が授業受けながら泊まりに来ていたり、宮城県気仙沼のゲストハウスではオンライン授業を受けながら長期滞在するプランが打ち出されました。

そしてその流れをさらに強くしたのは田舎に行きやすいプラットフォームが広まったことです。

その代表例が、今年の8月からスタートした田舎ホームステイサービスの「familyinn」です。1ヶ月以上から日本全国の家にホームステイできるサービスで、ゲストハウスや普通の家も含めて「新しい家族の形」をテーマに始まったこのサービスをすでに10人ほどの大学生が利用しています。
田舎の「新しい家族」の元で、大学生が都会から抜け出しているのです。

その他にもいろんな地域に住み放題サービス「Hahf」や、島と家族になる旅「おじか島たび」などのサービスなども立ち上がったことで田舎に行きやすい環境が整いつつあります。

政府が取り組んでいる地域おこし協力隊も大学生が休学して、キャリアをしっかり考えながら田舎で働く例も出てきています。

田舎への大学生の思いと、昨今のコロナ禍が組み合わさり、今一番「大学生が地域に飛び込みやすい」状況が生まれているように感じます。そして、情報に敏感だったり、思い切りがいい人がすでに飛び込み始めています。

田舎での生活は多くのことを教えてくれます。

この文を読んでくれた大学生の皆さんも、田舎に飛び込みませんか?

もし、田舎に飛び込みたいと思っている人や、話だけでも聞いてみたいという人がいれば、僕でよければ相談に乗りますので気軽にご連絡ください!

もし琴線に触れることがあれば。最低金額以上は入れないでください。多くの人に読んでもらえれば嬉しいです