コレからのSDGs時代の新しいアパレルのビジネス戦略を考える【ビジネスモデル】
ファストファッションの光と闇、つくる責任とつかう責任についてお伝えしてきました。そこで、今回はアパレルビジネスの新しいカタチをスタートさせている世界の注目企業をいくつかご紹介したいと思います。
すでに日本の先を行く世界の企業や、日本独自の企業まで、SDGsという時代の流れを掴むヒントにしてください。
サンフランシスコ発のD2Cブランド
エバーレーンの強さはコストの透明性
サンフランシスコで2010年に創業されたエバーレーン。このブランドは、材料費や生産コスト、物流コストを細かく表示しており、「トータル原価はいくら、販売価格がいくら」が見える化されているのです。
以前、ZOZOの元CEO前澤さんが「服の原価は定価の2〜3割程度」とTwitterでつぶやいたことで炎上しました。消費者は自分たちがソンしている気分になり、多くのアパレル業界は卸業者への手数料や自社の儲け、売れ残りまで加味すると、決して法外な値段ではない、となるからです。つまり、日本ではその辺りを開示する文化がなかったということです。
エバーレーンは中間業者を排除して、自社から直接お客様へ販売するD2C(direct to consumer)という手法なので中間手数料が不要。さらに、多店舗展開を目指さないECでの販売のため店舗維持費も低く抑えられる。と徹底したコスト管理を行い、販売価格を抑えているのです。
さらに! この生産過程の透明性において、どの国のどんな労働環境の工場なのか?という作り手の顔までが見えるようになっている。消費者は安心して買い物ができるのです。そのポリシーはInstagramでの自然環境保護の投稿からも見られます。(↑こんな啓蒙型の投稿も多い)
日本のファッションコラムニストなどは、”サンフランシスコ発のおしゃれで洗練された上質ブランド”と紹介しているだけ。本来のブランドの魅力のひとつ・エシカル面などには1ミリも触れられていないのは少し寂しい。。。
クラウドファンディングで在庫なし!
事前予約型アパレル・GUSTIN
アメリカのメンズファッションで、デニムやシャツなどの定番アイテムをプレミアムな品質で低コストで販売するためのブランドです。
「以前は205−269ドルで販売していましたが、クラウドソーシング価格では74ドルから」とサイトに書かれています。コレを見たら、どれだけの品質なのか、想像がつき期待が膨らみます。
このブランドは事前予約発注スタイルです。「コレ欲しい人?」で先行予約を取り、そこで発注数が確保できた段階で製造がスタートする。予約数だけ作ればいいので、廃棄されるものもありません。新しいビジネススタイルと言えますよね。
服を捨てずに有効活用
「もったいない」から生まれたshoichiとRename
日本らしい「もったいない」思考から生まれたビジネスをご紹介。
どうせ捨ててしまうくらいなら、安くても買って着てもらえた方がいい。それが素直な生産者の思いではあるものの、ブランドの立場として安く売るわけにはいかずに泣く泣く廃棄される服もあります。
shoichiはそんなアパレルの在庫処分という問題を専門的に解決するためのビジネスを行なっている。(最近はアパレル以外もやっているらしい)可能な限りの再販売をネットやリアルショップで展開している。ショップのひとつがColors。我が家の比較的近所にもあるので、たまに立ち寄る。
↑↓とにかく安い。テレビでもよく紹介されている。コチラは錦糸町店。
そして、もうひとつ。どこのブランドだかわからないようにタグを付け替えることで、再販売しているのがRename。名古屋のFINEという会社が立ち上げたビジネス。
生産プロセスから廃棄を無くそうとするビジネスと、それでも生まれた廃棄品を少しでも再販できるようにしようとするビジネス。
アパレル業界でもSDGsを意識したビジネスがいろいろと生まれてきています。この考えは、アパレルだけでなく転用できます。
自社で廃棄しているものを当たり前だと思わず、「これをなくすためにはどうしたらいいのか?」そんな思考から新しいビジネスヒントが生まれてきます。ぜひ、参考にしてください。
SDGsについて連載しています。
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