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JFL第11節・Honda FC戦【いわきFC監督・田村雄三ここだけの話~BEHIND THE SCENES⑭】

田村雄三監督が自ら試合を振り返る連載コラム。今回は、6月5日にアウェーで行われたJFL第11節の裏側を語ります。

▼プロフィール
たむら・ゆうぞう

1982年生まれ。帝京高→中央大→湘南ベルマーレ
2010年に引退。湘南ベルマーレ強化部スタッフを経て2015年、いわきFC強化部へ。2017年よりいわきFC監督

■「人を致して、人に致されず」

第14回目のnote、Honda FC戦の振り返りです。

暑い中、現地・都田サッカー場まで来て下さったサポーターの皆さん、そしてYouTubeで応援して下さった皆さん、ありがとうございました。勝ち切ることはできませんでしたが、この勝点1を次につなげたいと思います。

では、振り返ります。今節、試合前のミーティングで選手に伝えたのは以下の3つです。

① HUMBLE & HUNGRY. -成長を、挑戦を貫く
謙虚に、貪欲に。正しいと信じることに挑み続ける。
倒されても、立ち向かう。慢心することなく、常に上を目指す。
② 予測と準備+決断で、相手を上回ること。
③「人を致して、人に致されず」
戦巧者は自分が主導権を取り、相手のペースで動かされない。

まず①は、いつも通り、チームのスローガンを意識させました。自分達が今年必ず実行しなければいけないこと、意識することです。

②は、サッカーのことです。例えばリスクマネジメント、セカンドボールへの対応などです。

そして③は、古典の授業。『孫子の兵法』です。選手達をリラックスさせつつ気づきを与えるため、サッカーとあまり関係のないことを言う時もあります。その都度、いろいろな選手に言葉の意味を質問します。

「人に致す」とは、他人を自分の思うように動かす、誘導する、ということです。つまり

ボールを回されても「回させている」と思えばいい、前から奪いに行くとは「自分達が主導権を握っている」ということ。

そんなことを言いたくて、古典の授業をしました。選手からすると「何のことだ?」と思っているかもしれません。でも、それでいいんです。

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ミーティングで何を話そうかと思った時、スマートフォンで何でも調べられる。いい時代ですね。必要なこと、気になること、自分のためになることを調べる習慣をつけてほしい。そう思っているから「こういう言葉もあるよ」と紹介しているまでです。プロサッカー選手も社会人。賢いサッカー選手になってもらいたいと思います。

■相手に合わせるのではなく、自分達のスタイルを出す。

そして、サッカーでは以下のことを伝えました。

・相手がHonda FCさんでも、引いて守ることをしない。前線から奪い、ショートカウンターで得点を奪う。
・GOODポジションからのアプローチの質と連動、プレスバックの徹底。
・サイドチェンジを意識し、Honda FCさんのシステム上フリーになりやすい、両WMFを生かす。

引いてディフェンスすることは、Honda FCさんのよさを出してしまいます。そして低い位置でボールを奪うと、その分、得点確率は低くなります。

もっと言うと、いわきFCはここまで、引いて守ることをせずに戦ってきました。そのため、相手に合わせるのではなく、自分達のスタイルを出すことを考えました。

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得点シーンはよかったと思います。意図的なサイドチェンジからクロスへの入り方、質、人数ともに、いわきFCらしいゴールだったと思います。

■「代えられない」という思い。

ここからは試合を深く掘り下げていきます。今回の交代などについて。


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