監督として感じたこと、思ったこと【いわきFC監督・田村雄三ここだけの話~BEHIND THE SCENES㉟】
田村雄三監督が自ら試合を振り返る連載コラム。今回は最終回。監督としてのこれまでを振り返ります。
■「監督は孤独である」
本当の年末になってしまいましたが、noteを更新します。今回は監督としてこれまで感じたこと、思ったことを記載したいと思います。
百戦錬磨の諸先輩方がいらっしゃる中で大変恐縮ですが、書いていこうと思います。
よく「監督は孤独」と聞きます。強化担当の経験から、監督を経験するまでは、監督に寄り添い、一緒に戦い、悩んできた自負はありました。だから「孤独ってことはないだろう」と思っていました。
でも、なってみてわかりました。監督にしかわからないことが、多々あるということを。
前提として述べますが、クラブスタッフ、現場スタッフ、みんな協力し、助けてくれました。ただ「最後の決断」は、監督がしなければなりません。だからこそ、勝敗の責任を背負う。そうしなくてはいけない。
だからこそ、究極のところで孤独を感じることになる。自分の想いをわかってもらえず、孤立したような気持になるのだと思います。
スタッフを信頼している、していないではなく、それが「責任」だから。これは、監督をしてよくわかりました。
■監督として決めていたこと。
サポーター、ファンの皆さんならばおわかりになると思いますが、おそらく「監督・田村雄三」には「怖い」「愛想が悪い」部分があったはずです。
これは「そう決めていたこと」でした。
なぜなら、勝利すれば選手が素晴らしい。負ければ叩かれるのは監督だから。それがわかっていたし、そう思っていたからです。
だから、「壁」を作っていたのは事実。そうでないと、上手くいかないと思いました。「監督」にはそのことに負けないメンタリティと、何があっても「ブレない」ことが大事。そう思ったので、勝手ながら「壁」を意識してきました。すみません。
もっと言うと「監督を引き受ける=辞めるカウントダウンが始まった」という事実があるからです。この現実を理解し、納得しないとできない仕事。その覚悟がなければできない仕事だと思います。
だからこそ、監督業に身を置く人をリスペクトしています。必ず勝敗が生まれるスポーツの世界で戦うことの難しさ、大変さがわかりました。もちろん諸先輩方に比べたら、ほんの少しだとは思いますが。
■「ブレない」こと。
大倉社長に「監督としての行動、言動はすべて理念と紐付いていなくてはいけない」と言われました。最も意識していたのは、このことでした。
クラブの理念を遂行するため、カルチャーを作るために突き進んだ監督業でした。
選手の多くは、平均年齢23歳の「Z世代」です。スマホ一つで何でも情報を得られるのが当たり前の世代であり、昔ながらの体育会系育ちの私とはすべてが違います。そのことを理解し、受け入れること。
そして同時に
「変わらない大切なこと」を伝えていく。
これが最も気を使った、ブレない思いでした。
Z世代は「承認欲求」が強い世代だと思います。頭ごなしで伝えても、伝わらない。力で伝えるのは、時代に合わない。共通の理念、体現すべきことを、姿勢で、映像で、データで、日常会話で伝える。
だからこそ、常に選手を観察してきました。ちょっとした行動、言動を見逃さないよう心がけました。もちろん拾いきれていない部分もあると思います。でも不思議とプレーと顔つきを見れば、サッカーに集中している、していないはわかります。
だからこそ、ルール、規律を重んじてきました。みんなで決めたことだから。チームの規律、ルールを守る。このことも、昔から変わりません。
結果ではなく、プロセスが大切。
結果を憎まず、プロセスを憎む。
これも今も昔も変わらないことです。結果は結果でしかありませんが、プロセスは変えられる。突き詰められる。それが勝利につながるのです。
今年の結果は、この部分で選手とスタッフがお互いハードワークしたから得られたと思います。お互いを理解しながら、お互いでいい方向を探す。なぜなら、勝つために必要だから。それは今も昔も変わりません。
最後の監督noteとして、記載させていただきました。
皆さん1年間ありがとうございました。
2022年からは「田村スポーツディレクター」のコラムをスタートします。サッカーのことも書くかもしれませんが、その都度思っていること、クラブ運営のことなどを、皆さんにいわきSCをもっと知っていただくためのコンテンツとして、あらためて始めようと思います。
引き続き、よろしくお願い申し上げます。それでは皆さん、良いお年を。
(終わり)
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