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I.G.U.P 検討委員会レポート vol.4 高岡敦史さん講演

I.G.U.P第2回委員会後半のリポートでは、今回委員会のメインとなる岡山大学学術研究院教育学域准教授、高岡敦史さんによる「スポーツまちづくりの視点でスタジアムを考える」と題した講話の様子を、委員の北澤卓が紹介させていただきます。電車の遅延により、予定よりも短く駆け足となった講話でしたが、非常に濃密で気づきに溢れた講話となりました。

高岡先生の話は、これまで検討委員会がインプットしてきた様々な要素をきっちりと定着化させるような内容でした。スポーツ、まちづくり、社会課題…これまで「なんとなく」考えてきたことがしっかりと可視化することが出来たと感じました。

高岡先生の講話は
①スポーツまちづくりとは
②スポーツで生み出せる共創と事業
③スポーツまちづくりの実例
④IWAKI GROWING UP PROJECTへの飛躍―
という4項目の解説を主に行われました。

「スポーツとまちづくり」については、まちづくりを「地方創生」「地域活性化」「まちのデザイン」「地域課題の解決」とした上で「スポーツがエンジンとなる地方創生や地域活性化」と説明し、スポーツをエンジンに「地域の持続可能性をどう確保するのか、あるいは地域が抱えてる課題をどう発見指導解決するのか、そして地域の中に新しい価値をどう創造し、それをビジネスをして展開するのか」と話しました。

この後、スポーツで人・事業をつなぐ「社会的ネットワーク」と地域のスポーツクラブなどをスポーツリソースとして共有していく「スポーツインフラ」、それを踏まえてた上での「事業性確保」からなる「スポーツまちづくりの理論」について説明して下さいました。

これまでにない拡がりを可視化する図
資料提供:SPORTS DRIVE LLC

また「スポーツが生み出せる共創と事業」として「スポーツをする、見る、支える」を中心に「ヘルスケア」や「スポーツツーリズム」などのサービス、サービスを取り巻く基本的領域を構成する「芸術」や「医療」「経済」「建築」、さらその周囲にある「地方創生」や「エネルギー問題」「SDGs」などの社会課題などからなる図を提示しながら、「スポーツは論理的にあらゆるビジネス領域と関連するはずだと私は思ってます」と力強く述べました。

高岡さんのお話。委員一堂、ワクワクした様子で耳を傾けていました

そして「スポーツがそもそもそのエンジンになるにはどうしたらどういう風になればいいか?っていうことをもう 1 回捉え直す必要があります」などと語り、クラブが共創資源として使えるようになるための考え方について述べます。

まちのリソースとなるために、クラブはどうあるべきか。この部分はいわきFCをずっと追いかけてきた立場からすると「やっぱりそうだよね」と大きくうなづくことだらけでした。まとめると下記の通りです。

・株主・協賛企業のためのクラブ➔「まちのためのクラブ、株主・企業」
・強さ(勝利)が集客力と愛着の原点➔「クラブ物語が市民の絆の結び目」
・クラブ経営の為の事業展開➔「地方創生のための事業展開」
・スポーツ関心、クラブ愛着の受け皿➔「まちへの関心・愛着の苗床」
・スポーツの価値の生産と消費➔「社会的価値の共創と拡張」
・クラブに対する協賛の「消費(浪費)」➔「まちの未来への投資の創出」
・コストセンターとしての地域貢献活動➔「投資を呼ぶ地域課題解決事業」
・消費コンテンツとしてのスポーツ➔「価値共創の場としてのスタジアム」
・ひとつの事業者としてのクラブ➔「共創のつなぎ役としてのクラブ」

そして「クラブの捉え方が街の課題を解決し、地方創生を導くとするなら右側のスタイルにならないと、クラブやスポーツやスタジアムによる地方創生は決して生まれないと思います。今のJクラブは全て左側です。今のスポーツビジネスは全部左側です。これでは一切価値は生まれない。そして、右側になったケースっていうのはほとんどありません。それをいわきで産むチャンス。これは世界的に見ても多分稀有な事例になるはず」と語る高岡先生。この部分には本当にハッとさせられました。

スタジアムの新しい価値を言語化してくださいました

高岡先生の興味深い話はいよいよ佳境へ

高岡先生はスタジアムを4つの段階に分けます。バージョン1.0は単にスポーツが行われる場、2.0はJリーグなどが出来たことによるスポーツビジネスを行う場、3.0はスポーツビジネスだけではペイ出来ずにホテルや高齢者住宅、レストランなどを付けたビジネスの集積場などと解説。

そして4.0については「行政の政策トピックや産業のコ・クリエーション(Co_Creation:共創)、オープンイノベーションが生まれる共創の場になるんじゃないかというふうに私は思ってます」とし、「スタジアムの中のいろんな場所で共創が起こるということは、単にいわきFCがここでどんなビジネスをやって、どれだけ収益上げるかっていうこととは、桁が違うぐらいの価値をスタジアムそのものが生み出せる」と続けました。

そして最後に「いわき FC であるいは新スタジアムで皆さんどう遊びたいですか? どう遊びますか? その遊びで誰を幸せにしたいですか? いわきをどんな街にしたいと思いますか? どういう課題を解決したいと思いますか? それを常にいろんな人たちに問いかけて巻き込んでいく。それは常に遊びでないといけない。楽しくないといけない。ワクワクしないといけない。面白いことやろうよ。新しい価値を生み出そうよ。みんなでワクワクしようよっていう遊び場にぜひしていただきたいなという風に思います」と講話を終えました。

共創、スポーツまちづくり、遊び場など様々な概念に触れることが出来たこの日。今はまだ曖昧としている部分も多いけれど、色々な人々と夢を語り、遊びを語り、巻き込み、自分ごとに考えてくれる人々増やしていきながら、同時に勉強しながら、スタジアムやいわきFCを中心としたいわきの未来像を考えながら、歩みを進めていきたいと思える検討委員会でした。

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