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文化人物録11(和田彩花)

和田彩花(元スマイレージ、元アンジュルム、アイドル・タレント、2014年)
→アイドルグループで長く活動してきた和田彩花さんのことは正直あまり知らなかったが、やたらと美術に詳しいアイドルがいるという話を聞き、「どういう人なのだろう?」と強い関心を持った。実際にお会いすると、すぐに「本物」であることが分かった。手元に資料やカンペなどなくとも、美術への想いが溢れ出してきたからだ。当時は大学でも美術史を専攻していて、将来は大学院進学も視野に入れていると話していた。現在は大学院のあと、さらにフランスに留学中のようで、アイドルの枠を遥かに超えてますます活動の幅が広がっているようだ。勉強はやれと言われてやるものではなく、自ら自然とやるものなのだ。

・「乙女の絵画案内」
・高校1年生の時にマネの絵を見て衝撃を受けた。カラフルなイメージだったが、黒の使い方にむしろ興味を覚えた。マネからレンブラントに入って黒の世界を知り、そこから逆に明るい世界に興味を持った。
・マネは「死せる闘牛士」という作品があるが、男との人が倒れている場面、こんな絵を書いていいのかと思った。暗くて謎めいている、分からない世界から美術への興味、他の絵の関心がどんどん広がった。
・デビューの時期、ちょうど仕事の合間を縫って美術館に頻繁に行っていた。特にフェルメールは光の画家と言われているが、何なのだろうと考えた。でも実際に絵を見て実際に自分に繊細な光が降りかかってくるような感覚だった。
・2013年から大学で美術史を学んでいる。西洋の近代美術や仏教美術などを勉強している。勉強すると本当に楽しい。モネも光の画家ではあるけれど、背景は社会の近代化とつながっている。画家の手紙なども合わせてみると面白い。私は今美術展の解説などを担当することもあるが、第一印象が解説につながると思う。これまでは作品を対象に見ていたけど、画家を対象に見るようになってきて、そうすると人間らしさが浮き上がってくる。これは仏像も一緒で、作っている人も思いやりや作品を作った理由、パワーを感じるようになる。
・アイドルとしても活動しつつ、絵画の勉強は続けていく。新しいアイドル像を示したい。人生一度きりなので、後悔のないようにやっていく。

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