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日本のジャズ名盤(ジャズ批評2023.1)

ジャズ批評2023年1月号(No.231)
特集「日本ジャズの名盤」

1 アルバム名:ひまわり
名義:坂田明
JCF(日本チェルノブイリ連帯基金)/GNCD-0001/2006年/CD

2 アルバム名:花と水
名義:菊地成孔&南博
ewe record/EWCD0159/2009年/CD

3 アルバム名:SONGBOOK
名義:石若駿
YoungS’tonesRecords/YS0001/2016年/CD

4 アルバム名:ADVENTURE IN MY DREAM
名義:中村誠一
スリーブラインドマイスレコード/THCD-245(DQCP-5229)/1975年/CD

5 アルバム名:spectrum
名義:akiko&林正樹
ability muse records/POCS-1818/2019年/CD

1坂田明は山下洋輔らと日本のフリージャズをけん引してきた音楽家であり、タモリらとの交遊が深いエンターテイナーであり、専門家からも一目置かれるミジンコ研究者でもある。そんな坂田のもう一つの顔が平和運動家だろう。チェルノブイリ原発事故に苦しむ子供たちのために作品を制作した坂田の思いは、今のウクライナ情勢とも重なる。
2文筆家としても高い評価を受ける菊地成孔と南博。2人の活動の源泉にある自由、即興性の希求が存分に表現されている。
3ジャンルを超えて活動するドラマーは数あれど、石若駿ほど多彩かつハイレベルな人はいない。共演者の世界観、空気を感じ取りつつ、自身の色を絶妙な形で加える手腕に感服。
4中村誠一も坂田明と同様、山下洋輔やタモリとの活動が知られるが、フリージャズから距離を置いた自身のリーダーアルバムも骨太で完成度が高い。
5akikoはヴァーヴからデビューした初期の華やかなイメージが今も強いが、ポピュラーやブラジル音楽などとの融合を試み続ける挑戦的なシンガーだ。ピアニスト林正樹と共演した今作は現代音楽をほうふつとさせる静謐な作品。空白の美学ともいうべき音楽は、日本の「わび・さび」的価値観にも通じる。

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