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【いわし園芸】木立を抜けて

noteブログシティのかたすみにある、note商店街にて園芸ショップを営んでいます。季節の草花を取り揃えているので、ぜひ見ていってくださいね。

あと、私、大のおしゃべり好きでして、お店に立ち寄っていただいた際には、少しおつき合い頂ければとても嬉しいです。松葉杖をついた男の子が通りがかったんで、声をかけたんです。そうしたら、ね。おっと、あぶない、まずはこちらから。

その男の子、病院に行った帰りなんですって。春先に怪我をして、だんだん良くなってきたから、定期検診の帰りにぶらぶら散歩もできるようになったみたいです。

くだけた左足の骨は、もうほとんど復元されていて、来週にギプスを切開することになったんです。退屈な定期診察を終え、ぼくはいつも診察室の窓から眺めていた林に向かいました。

ガードレールをくぐって、ブナの木が繁る斜面をすこしずつ、転ばないように下る。踏み込んだ足に腐葉土の、人肌に似た生暖かい感触が伝わります。林の体温に守られ、いったいどれだけの生き物が眠っているのか。

不自由な左足をかばいながら、途中、ひときわ大きな幹に手をついて休んみました。だいぶ林の奥まで行ったんです。振り返ると、ガードレールは斜面の向こうに隠れて見えなくなっている。手のひらに触れる樹皮には硬く尖ったささくれがあって、ぼくの掌に細かな傷をつけました。幹から手を離した瞬間、ぴりぴりとわずかな痛みがはしりました。

ぼくは再び歩きはじめたんです。腰のあたりまで草に埋もれてしまった。陽の光は木々に遮られてほとんど届きません。さらにすすむと、草はそのまま、水の中へと没していました。診療室の窓からは分からなかったんですが、雑木林の先は沼へと続いていた。

ぼくは立ちどまって、水の中に沈んでいる木の枝を眺めたり、手近な石ころを投げたりしたあと、ひきかえすことにしました。丈夫で軽い長靴を見つけようと思いました。ギプスが取れたらその長靴に足を通して、沼の対岸へ渡ります。進んでみないと、分からないことって、きっとたくさんあるんだと思います。まだまだずっと先にだって行けるはずですよ。

怪我が治るのが待ちどおしくてたまらない、という感じでした。凛々しい顔してましたよ、はい。私もね、いろいろあったなあ。子どものころ、こんなことがあってね、え、お急ぎですか。これは失礼しました。では、また。

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