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「自分だからできることを追求したい」SDGs教材編集&監修担当:佐藤祐子

SDGsを英語でクリティカルに考える教材、「Thinking Critically about SDGs」を開発する一般社団法人国際エデュテイメント協会の石川です!

今回は、IUEO教材開発の中心を担う佐藤さんにお話をお聞きしました!

- IUEOでのご担当業務を教えてください。

 教材統括マネージャーとして、英語教材の提案から執筆、校正など教材が人の手に渡るまで全てを統括しています。また、カリキュラム・デザインの提案や翻訳なども担当しています。

- SDGs教材作成にあたって、ご担当の業務を教えてください。
 教材の企画段階から、教材のデザインに至るまで全ての業務を統括しており、SDGs教材作成に関わってくださっている方々との連絡や確認、出来上がってきた原稿の編集・監修を行っています。ライティングやスピーキングについてなど、本文の執筆をしている箇所もあります。その他には、2021年8月に行ったSummer Campのカリキュラム構成、講師も行いました。

- 私(石川)が作成する教材アウトラインやドラフトにいつも助言をくださっています。幅広い視点からアドバイスをくださったり、時には電話を繋いだ対談形式で教材の流れを話し合うことも。

-「英語」「教育」に携わることになったきっかけを教えてください。
 私は10歳から21歳までアメリカで育ちましたが、ネイティブの生徒やより幼い時にアメリカへ移住した日本からの生徒に比べて、自分の英語力がない事がコンプレックスでした。高校生になると、言葉や教育のギャップで頑張っても良い成績が取りづらい事、文化の違いや複雑な家庭事情もあり、高校生活に馴染めず、出席日数も単位もギリギリなくらい学校をサボっていました。その頃の私は、学校も先生も大嫌いで、自分が教師になったり英語教材に関わる事になったりするとは思ってもいませんでした。

 私が「英語」「教育」に携わるようになったきっかけは、2011年の東日本大震災です。当時私は大手旅行代理店で働いていましたが、長時間労働で心も体もボロボロになっていました。そんな時、岩手県陸前高田市教育委員会の求人をみました。その内容は、震災を機にアメリカから帰国してきた日本人とアメリカ人の親を持つ子ども達が授業についていけるようになるために、英語と日本語ができる人を探している、という内容でした。何か被災地のためになることがしたいと思っていた事と、私にしかできない事があると思い、移住を決意しました。被災地で仮設住宅に住みながら、被災された方やボランティアの方々など、色々な人と交流するうちに、「自分だからできることを追求したい」と思い、大学進学を決意しました。補助を担当していた子が小学校を卒業し、授業についていけるようになったのを見届けた後、社会人入試で入った国際教養大学へ進学しました。国際教養大学で英語の教員免許を取得し、今はIUEOで働きながら都内の私立校で非常勤講師もしています。

- 教材開発マネージャーとして、SDGs教材に込めた思いを教えてください。
 「SDGsの17ゴールを他人事で終わらせない。」というのが、私がこの教材に込めた一番の思いです。
 SDGsと聞くと、どうしても「飢餓に苦しむアフリカの子供たち」「教育が受けられないカーストの低い女の子」など、外国の事を考える人が多いと感じてます。しかし日本でも、餓死する低所得者やホームレス状態にある人々、教育格差、女性差別など、17ゴールの中で取り組まなければならない問題が山ほどあります。しかし、SDGsについての教育の仕方や見方を一歩間違えると「日本はこんなことはないから自分には関係ない。」と思考の停止を招く可能性があります。そうして考えることをやめてばかりいると、自分とは違う立場の人に対する想像力が欠落し、社会の構造を理解しないまま、苦しむ人に「自己責任だ」と言うような人ばかりになってしまいます。これはSDGsの公約の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」の精神に反するものです。この公約が入れられたのは、自己中心的に戦争や自然破壊を起こしてきた過去の反省からです。
 SDGsのそれぞれのゴールには、世界の人々や私たちの社会に対する批判や反省、課題がたくさん含まれています。一つ一つのゴールを具体的に理解し、「日本の現状」「関係者のインタビュー」などを通して、SDGsが自分自身を取り巻く課題だと気が付いてもらいたいと思っています。そうすることで「関係ない」「自己責任」「他人事」で考える事をやめることなく、問題に取り組もうとする姿勢や想像力が生まれると信じて、この教材を作っています。

- SDGs教材を通じて、読者(生徒)にどんなことを伝えたいですか?
 SDGsは、どのゴールに取り組んでも、私たち一人一人の行動によって、社会全体の動きを変えていく事ができるのです。その為にはまず、自分が社会でどのような位置にいるのか、を認識する必要があります。それは、自分の家庭がクラスメートの家庭より裕福でないかもしれないこと、自分が発した言葉や冗談で人を傷つけてきてしまったかもしれない事など、難しく苦しい気付きをする必要があるかもしれません。それでもそれは、自分自信の社会的位置を認知し、「今の自分ができること」は何かをきちんと認識できるようになるということです。このSDGs教材を通して、どんな小さな事でもいいので「今の自分ができること」ができる人が一人でも増えればいいと願っています。

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※本インタビューは、弊社のSDGsをクリティカルに考える英語教材「Thinking Critically about SDGs」の制作に関する内容です。


「Thinking Critically about SDGs」では、中高生がSDGsを英語で学びながら、社会に対してクリティカルに考え、自分の意見を表現することができる教材です。「誰一人取り残さない」社会の実現に向けて、一人でも多くの方が社会を見つめ、考え、自分なりに意見を持つ、ことが重要だと考えています。本教材は、それらを習得できる教材です。

また、この度本教材については、”環境に配慮したFSC認証紙で書籍化のためのクラウドファンディング”を9月に実施することを予定しております。

ぜひ本教材の普及にご協力いただける方は、本note記事のシェアやクラウドファンディングページ(準備中)へのご支援をよろしくお願いいたします。

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