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燃やす前にヤらせてやれよ! --- 映画「ウィッカーマン」AmazonPrimeVideo版 レビュー ネタバレあり

それにしてもなんとかならないものだろうか。

Googleの課金制限の話です。うちのテレビにはandroidTVが内蔵されていて非常に重宝しているのですが、いままで普通に有料コンテンツも視聴できていたのに、スマホに続いてこっちまで課金制限されてしまいました。今後はいちいちアマゾンのアプリをスマホで立ち上げて支払いを済ませないといけません。実に使い勝手が悪いし、面倒くさがりはこれだけで有料コンテンツは見る気が失せると思います。OSレベルで「かつてないユーザー体験」とか言ってるのはちゃんちゃらおかしいです。

いろいろ理由があってそうしてるんだろうとは思いますが、結果的に使いにくくなっているのは事実です。私が偉い人なら理屈はいいからなんとかしろ!と激怒しているところです。あーもう、世の中複雑過ぎるんですよ大体!

で、そのアマプラのおすすめに何故か出てきたウィッカーマン。ミッドサマーが公開されたあたりで一時話題に登って、気になっていた作品です。2006年にニコラス・ケイジ主演でリメイクされていますが、今回は1973年のオリジナル版のほうを観ました。

さすがに1973年の作品ですから今さらネタバレもなにも無いとは思いますが、一応ネタバレしちゃいますのでご注意を。普段あんまり本文で警告するなんてことはしないのですが、なにせオチがすべてみたいな作品なので、一応念のため。

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スコットランドのとある島に飛行艇で颯爽と現れた警察官。彼の名前はハウイー。行方不明になった少女の捜索をしています。少女の名前はローワン。名前と顔写真以外の手がかりはありません。

ハウイーは上陸し、早速捜索を開始しますが、なんとなく島の雰囲気が気持ち悪い。そもそもこの地では法律よりも領主のサマーアイル卿のお許しが優先する社会で、ハウイーも警察の権威を思うように振りかざせなくてイライラしっぱなし。しかもローワンの母親も、彼女が通っていた学校の教師も子どもたちも、ローワンのことを揃って「無かったこと」にしようとしているようでした。

島の異常性はそれだけに留まりません。どうやらこの島では独特の宗教観のもとで生活が営まれているようです。実際にこのような宗教があるのかどうかわかりませんが、多分に性的な要素が盛り込まれた教え、多分に性的な要素が盛り込まれた儀式、性的性的性的なのです。

一方のハウイー氏。どうやら敬虔なカトリックの信者らしくて、宿の主の娘に全裸で誘惑されるものの、歯を食いしばって堪えて「婚前交渉ダメ!」と拒絶(このシーンは個人的にすごく好き!)。これだけでも私は頭がおかしくなりそうですが、そんな夜を超えて翌朝おもてに出れば全裸の女性が焚き火の上をジャンプしてる。いや、もうハウイーの倫理観は崩壊寸前であります。

そんな異常な環境の中ハウイー巡査部長、頑張って捜査を続けてどうやら島の林檎の不作を鎮めるためにローワンが生贄にされるのではないかという結論に達します。巡査部長という立場としてもいたいけな少女が邪悪な宗教の犠牲になろうというのですから、これはなんとしても助けたい。

奇祭の当日、仮装して島民に紛れ込んだハウイーの前についに生贄となるローワンが現れます。島民の前に姿をさらしローワンを攫って逃げようとします。ローワンの先導で洞窟の中を抜けて逃亡を図ろうとするハウイーでしたが、洞窟の出口で待っていたのは領主のサマーアイル卿、そしてすべての島民たち。ハウイーは騙されたのです。

本当の生贄はハウイー自身でした。それというのも彼らの教えでは最高の生贄の条件は、
・童貞(!)
・賢くて愚かな者
・女王の代理(=警察官)
・自分の意思で来ること
なのです。

この最後の自分の自由意志で来るってのが曲者で、ローワンの逃亡を助けるつもりだったとはいえ、儀式の現場に足を踏み入れてしまったハウイーは、見事に条件を満たしてしまったわけです。

さて、タイトルのウィッカーマンですが、wickerとは枝編み細工のことを意味します。籐製品なんかもwickerと呼ばれるみたいですね。The Wicker Man つまり枝編み細工で作られた人という意味です。

ハウイーの前には禍々しい巨大なウィッカーマン。既にその中には生贄の家畜類のセッティングが完了しています。そして胴体の一番広いスペースに、たった今嵌められた哀れなハウイー巡査がセッティングされて準備完了!豊作を祈る島民の歌声が高らかに響くなか、ウィッカーマンに火が放たれるのでありました。

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はあ、なんか久々に長々とあらすじを書いてしまいました。
これだけ一気に書けるってことは結構楽しんで観ていたってことですね。正直怖さは全然無かったです。でもなんか「変な物を見ている快感」みたいなものは確実にあります。

でもどちらかと言うと島の風習のキテレツさよりもそれを拒み続けるハウイーの頑なさが印象に残ります。やっぱり宗教の縛り付ける力は相当なものがあるんでしょう。

島の人たちは作物の不作に疲れてキリスト教を捨てて、今の教えに乗り換えてるわけですが、ハウイーはこの受難の中、炎に焼かれながらも神に祈り続けるわけです。

結構なガタイだし、そもそも枝でできてる籠なんだから、暴れれば壊せそうなものなんですが、心を折られてしまっているせいかそのまま焼かれてしまう。最後の最後は神に救われると信じている人は、案外最後まで抵抗しないものなのでしょうか。

このハウイーの姿を観ていると、信仰なんて世の中の理不尽さを諦めるためにあるのかもしれないなーと思ってしまいます。実際私も神頼みで報われた記憶はほとんど無いし。

以上が私の感想になります。
確かに、噂通り面白かったです。
アマプラのおすすめ、ナイスアシストでした。


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